再会の涙
「…………あ、あの……マスター様?朝早くに私を連れ出してどうしたんでしょうか……?」
「まぁまぁ、少し待ってな」
何やらソワソワしているアイハに声をかけながら、俺は王宮から支給されている世界樹の杖を使い、地面へ魔法陣を書いていく。教えられたのがあのメルトからって言うのが少し癪だが……。
デュアルデルタと呼ばれる、三角形上下逆さに重なっている基本の魔法陣を描き、いつものように詠唱を開始する。
「見てな、アイハ」
「は、はい!しっかりと見てます!」
空から鎖が降りてきて、俺の体にまとわりつき、口が勝手に呼び出す詠唱の言葉をつむぎ始める。
「ーーーー我の名に応え、その無垢なる姿を現したまえ!」
魔法発動が成功し、呼び出された死者の魂が再び肉体を持ち、この世に現れる。
「うっ……私は一体ーーーー」
「え……」
アイハが驚いたように声を出す。魔法陣から現れたのは、緑髪の女性。
「どうして、私は国によってその体を焼かれたはずなのだがーーーーー」
そう、呼び出したのはグリゼルダ・ラグノア。アイハを呼び出した張本人である。
いやー、アテナとの報酬のイチャイチャは顔から火が出るほど嬉しくて恥ずかしかったが、頑張ったかいあったわー。
「………グリゼルダ……さま」
「……その声……アイハか?しかし、一体なぜーーーーー」
「グリゼルダ様!!!!」
未だに状況を受け付けていないグリゼルダさんに、アイハが迷いもなく突っ込んで抱きしめた。混乱していたグリゼルダさんも、とりあえずはアイハを抱き締め返した。
二人の目からは、無意識だろうが流れている涙。しかし、その顔に悲しみはなく、どちらも嬉しい色が浮かんでいる。
……ま、この涙が見られただけで、俺の頑張り(羞恥心に耐えた)は報われただろう。
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とりあえず、これで第一章終わりですかね。増えすぎたヒロイン、存在しないプロット。全てが作者の思いつきですが、しっかりと智達が魔王を倒すまでお付き合いください。
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