第41話

「今、新たなる契りのもとーーーーその力を我の為に奮いたまえ!」


 何かが、俺とレイスクイーンの間を繋げた気がした。


 これは……あれだな、シトラスとセラフィスと同じ……いや、ちょっとだけ違うな、まぁ経路パスとほとんど同じか。気にする事はないだろう。


「……う、うそ……まさか、本当に……」


「……ま、これで契約は完了だ。これで、命を断つという選択肢は無くなったな……シトラスも協力してくれてありがとな」


 と、シトラスの頭をなでなでしておく。


「ん……ご主人のためじゃ。気にするでない……できるなら、もうちょっと強く撫でるのじゃ」


「ほいほい」


 シトラスの要望に応え、チラッとレイスクイーンの方を見ると、そこには、涙を流すレイスクイーンの姿があった。


「…お、おい!?どうした?なんか痛むのか!?」


 慌てて泣いているレイスクイーンに近づき、膝を着いてレイスクイーンの涙を拭う。契約前よりも健康的になった肌に、涙の跡が出来た。


「……わた…私……っ、本当は……本当はっ……怖くて……」


「………うん」


「ありがと……ございます……ありがとうございます……っ!」


「……うん」


 俺は、泣きじゃくるレイスクイーンを抱きしめたのであった。









 ………さて、どーしてこうなったかなぁ。


 現在、俺は上半身裸の状態で、下着姿であるレイスクイーンと抱き合ってベッドの中にはいっている。


 なぜこうなったかは、少し前に遡る。


 就寝時間、今日は皆色々と疲れたようで、それぞれ気に入った部屋で睡眠を取る。


 さてさて、それでは俺も寝よっかなーとか思っていたら、新たな仲間となったレイスクイーンであるアイハがやってきた。


 アイハとは、グリゼルダさんがレイスクイーンに付けた名前であり、グリゼルダさんの一番好きな花の名前らしい。今度見つけてあげようと思った。


「おーどうしたアイハーーーっぶぅぅぅ!!」


 アイハの姿を見た瞬間、俺の口から物凄い勢いで吹き出した。


 それもそのはず。なぜなら、アイハは下着姿になってやってきたのだから。


 物凄いえっちです!ありがとうございますーーーーーじゃなくて!え!?なんで!?シタギスガタナンデ!?


「そ、その……あんまり見ないでください……」


「っ、ご、ごめん!」


 慌てて顔を逸らす。あぶね……このままだと最近シトラスや、エリーのせいで反応しやすくなっている俺のジュニアがやばい事になるからな。


「……あ、あの、目をつぶったまま聞いてください……その、マスター様との契約のおかげで少し力は戻ったんですが……その、アストラル系の食事である、生気が足りないんです……」


 すっ、とアイハから顔を触られる感覚がする。


「このままだと、契約はできても、レイスを集める気がまだまだ漂っているので、レイスが集まってきます」


「……だから、俺から生気をすいたい……と?……でも、なんで下着姿?」


「接着面が多いほど、生気を多く吸収しますから………こ、これが効率がいいんです!」


 と、目をつぶったままだが、絶対に顔を赤くしているアイハが簡単に思い浮かべられた。


「……まぁ、いいよ。アイハのためだからね」


 ……しかし、レイスに生気吸い取られると疲れて動けなくなるんだけど……そこら辺大丈夫なの?」


「ありがとうございます………生気を吸う量は調節しますので、朝起きたら疲れて動けないという事態はないので、安心してください」


 あ、それなら安心だわ。


 アイハに手を引かれ、一緒のベッドに入ることに。アイハから目を開けていいと言われたので、目を開けた。


「……そ、それでは……抱きしめさせてもらいますね」


 モゾモゾとベッドの上を動き、恐る恐る俺に抱きつくアイハ。俺も、アイハを抱きしめ返した。


 ………し、しかし……あれだな。アストラルと言っても、柔らかいものは柔らかいし、肌とかめっちゃスベスベしてるんだな。


「……それではマスター様……おやすみなさい」


「お、おお……おやすみ」


 ふわりと微笑んで、アイハは目をつぶり、すぐに寝息を立てる。それと同時に、俺から何か吸われていったいる気がした。


 …あ、これすぐに寝られるやつだ。











「やっほー。智くん。ボクだよ」


「……………………」


 目を覚ましたら、あの時と同じような様々な花が咲いている空間へ出てきた。


「……なんでいんの?」


「その反応は酷くないかい!?」


 近寄って胸をポカポカと叩いてくるアテナ。しかし、可愛いだけである。


「……あ、そういえばさ、アイハと再契約した時に口が勝手に動いたんだけどさ……あれお前のせい?」


「んにゃ。ボクが干渉するのは、異世界からキミのハーレムメンバーを連れてくる時だけさ!」


「いや、ハーレムて………」


「…?事実じゃないか。キミの勇者因子の影響もあるとはいえ、まさか全員殆ど一日で堕とすなんて……」


「………………」


 な、何も言い返せねぇ!


「ま、これも君の宿命さ。役得だと思って気楽に行きたまえ。幸い、この世界は一夫多妻制だからね………ボクも後で加わるから、そこら辺忘れちゃダメだよ?」


「ご、ゴホン!それよりも、あの時俺の口が勝手に動いた件についてだ!」


 そろそろ心臓がやばくなってくるので強引に話題を転換する。


「こりゃまた強引だね………うーん、多分、それってキミの天職である死霊術師ネクロマンサーが成長したんじゃないかな?」


「成長?」


「うん、ほら。ゲームだってレベルアップしてスキル覚えたら、次の戦闘で直ぐに使えるだろう?あれと一緒さ」


「なにそれ、すげーわかりやすい」


 確かにそうだよな。ドラ〇エとか、誰にも教わってないのに使えるようになるもんな。あれと一緒だな。


「ところで、もののついでにちょっとアテナに頼み事あるんだけど………」


「……なんだい?あまりにも不可能では無い限り要望には応えるよ。報酬はボクとイチャイチャすることだけど」


「……………おう、それで頼みたいことなんだけど……………」


 ……………………………………。


「ーーーできるか?」


「……なるほど、ほんと、キミは身内にはびっくりするほど甘いねーーーボクに任せて、その位なら許容範囲だよ」


「ありがとう」

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