第40話
ふむふむなるほど………なるほどねぇ……。
「だが断る」
どこぞの奇妙な冒険を思い出し、思いっきりポーズをかましてやった。
ひゃっほー!1回くらいは言ってみたかったんだよね!このセリフ!まさか異世界に来て言えるとは………。
「な、何故ですか!?」
「いやいや、逆にこっちがなぜですかって聞きたいんだが」
「うむ。ご主人の言う通りなのじゃ。急に殺せと言われても、はいじゃあ殺りますとか言えるやつなんて、おるわけがなかろう」
俺のセリフにシトラスが便乗する。うんうん、なんか今まで漂っていた悲壮感溢れる空気が一瞬にして無くなったな。
「まぁまぁ……とりあえず話してみ?それから何か解決方法探そうぜ、お嬢さん」
「ん、それがいい。マスターナイスアイデア」
「はい、それではお飲み物の準備をしてきますね」
「……あ、あの………?」
テキパキと準備をする俺たちを呆然とした目で眺めるレイスクイーン。
「あ、あの……早く…早く私をころーーーー」
「殺して……なんて言わせないぞ?」
レイスクイーンの唇を指で塞ぐ……ってあれ、普通に触れるのね。
「とりあえず話せ事情を。その話題については後からだ」
その後、エリーによってなんちゃってお茶会的なのが開かれる。参加するのは、異世界から来た俺と、メイドのエリーと、魔王のシトラスの、堕天使のセラフィスに、レイスクイーン………文字だけ見るとなかなか凄いラインナップだな。
そして、ポツポツ……と、レイスクイーンは昔を懐かしながら話し始めた。
レイスクイーンが、初めて現れたのが、300年前で、とある女性の
名前をグリゼルダ・ラグノアという、緑髪の美人さんらしい。300年前は、
へー、とか思って聞いてたけど、この屋敷って築300年!?とか思っていたら、何回も立て直されているらしい。
しかし、どこからか漏れたのか、グリゼルダさんは、当時の王国軍によって異端裁判と呼ばれるものに引きずり出され、魔女裁判のごとく焼かれたらしい。何それ許せん。
それで、このレイスクイーンは、最後のグリゼルダさんの遺言である『思い出のこの土地を守って欲しい』と命令したらしい。それから、レイスクイーンは上手く身を隠しながらやり過ごしていたらしい。
しかし、レイスクイーンとは、本来レイスの女王であり、レイスを統べるもの。グリゼルダさんが生きている内は、レイスを自然と集めてしまう気のような物は抑えられていたらしいが、年を重ねていく度に、それも難しくなってきた。
しかも、なんとこのままでは自然消滅してしまい、レイスクイーンの力の残滓を求めて、レイスだけではなく、たくさんアストラル系のモンスターを例外なく集めてしまうらしい。
このままだと、ここも含めて危険になってしまう。だから殺して下さい………と、そう言葉を締めくくってレイスクイーンの話は終わった。
はい、問題です。ここで、俺らサイドの反応はどんなものでしょう。
「「「「「はぁ……」」」」
「え……皆さん、何故ため息を……?」
はい、正解はため息でした。
いや………だって……ねぇ?
お忘れ?俺って
「……とりあえず、こちらの総意見として、お前を殺さないことが決定した。異論は認めん。はいはくしゅー」
「ま、当然じゃの」
「わー」
「さすがです、智様」
「素敵です!」
と、レイスクイーンを除いた拍手をする。レイスクイーンは未だに困惑状態だ。
「で、でもみなさん!このままだと私が消滅してーーーーー」
「消滅させなければいいんだろ?」
そうなら簡単だな。だって、俺
まぁつまり……レイスクイーンの新たな契約主を俺に上書きさせればいいだけだろ?
「よし、シトラス手伝いよろしく!」
「了解なのじゃ!」
「え……え!?」
困惑するレイスクイーン。シトラスが指を鳴らすと、俺とレイスクイーンの足元に魔法陣が現れた。
「さぁ、契約と行こうかレイスクイーン。俺はーーー俺たちは、絶対にお前を殺すという選択肢は取らないからな………契約を始める」
さて………ぶっちゃけ俺って
「我、汝の力を望み、新たなる契約者としての契約を結びし者ーーー」
……あれ、なんか言葉が自然と出てくるんだけど。
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