第24話

「……やりすぎだ!お前も亘と後ろにいろ!」


 と、言われまして、現在五条の横でございます。


 いやぁ、もうこいつの横にはいないでいいかなぁとか思ってた三分後にまさか俺の定位置が決まってしまうとは……。


「言ったのじゃ。爆散するとちゃんと我は言ったのじゃ」


「いや……ほんとにするとは思わないじゃん」


 デコピンの衝撃波ーーーもとい、デコピンで振動した空気を風魔法の応用で飛ばし、ゴブリンの死体をゾンビ物ゲームもびっくりするくらい、粉々に吹き飛ばしてしまった。


 ……いや、別に悪いとは思ってないよ?だって相手はゴブリンだもん。それに、五条が言ってた通りに殺らないと殺られるという意識が強く出てきた。


 とまぁそれは置いといて、俺たち異世界組はどんどん階層を降りていく。10回に1回くらいの頻度で俺か五条が戦闘でき、五条は剣の一撃で、俺はデコピンの衝撃波でペチペチと打ち倒していく。


 デコピンで倒す時に、さらりとシトラスからこれもコントロールできるようにと試練を課すから余計に疲れる。四肢爆散させるから、爆散させないように威力を調整せよとか。


 別に倒せるんなら爆散させてもよくない?と言ったらーーーー


「馬鹿者!あんなに無関係に四肢爆散させたらグロいじゃろが!」


 というありがだーいお言葉を貰った。うん、なんかごめんね?


 と、言うことなので、しっかりとコントロールしています。五回目くらいでやっとコツを掴めるようななり、いまはただゴブリンを吹き飛ばすだけになりました。やったね!


 とまぁそんなこんなにやってきて、現在俺たちは20階層まで降りてきていた。


「よし!20階層の最初の部屋はモンスターが出てこないし、入ってもこないセーフゾーンだからな!少し休憩する!」


 ジョセフさんがそう言うと、クラスメイトがバラける。さて、俺も座って休憩しよっかなーと思って潤の所へ行こうとしたら、シトラスにがシッ!と腰に引っ付かれた。


「……ご主人、休憩中も魔力コントロールの練習なのじゃ」


「……OH」


 ズルズル……と引っ張られ、なんかいい感じに出っ張っていた岩にストン、と座らされる。


「今、ご主人はわかりやすく言えば、まだ魔力を0、100、50位の感覚でしかコントロールが出来ていないのじゃ。それは、無駄な魔力を使ってしまうということなのじゃ」


 ふむふむ、とシトラスの話を聞いていく。シトラス曰く、きちんとコントロール出来れば、魔力切れを起こしにくくなるし、もし魔力切れをしても気絶しないで済むらしい。ぶっ倒れはするけど。


 結局、休憩と言った休憩にならなかったことだけ教えておこう。なんか更に疲れたよ俺。


 30分ほどの休憩を終え、今日の最終目的地である20階層を探索する。今の訓練内容は、前衛と後衛でのコンビネーションを確認するのだという。ちなみに、グループ分けとして、前衛と三人、後衛二人が人グループなのだが、俺に至っては前衛五条、後衛俺で完結しちゃってる。


 いや……まぁいいんだけどさ。


「……ん、ご主人。そろそろ我も参加したい。というか我が今どこまでやれるのかということを知っておきたいのじゃ」


 と、袖をクイクイっとしながら聞いてくる。一応、五条に「そんな訳だからいいか?」という意味を込めた視線を五条に送った。あ、いいの?サンキュー。


「と、言うことだ。程々にやりなさい」


「まかせるのじゃ!久々に腕がなるのう!」


 と、嬉しそうにはしゃぐシトラス。可愛い。


「魔物だ!まずは亘と智!頼んだぞ!」


「はい!」


「まぁやるのはシトラスだけど……」


 とりあえず、世界樹の杖は腰から出しておく。シトラスも、どんな敵が来てもいいように魔力を練り始める。


「ーーーーーあれは」


 体長は、約170センチくらいで、一般男子高校生の平均身長くらいの大きさをしている。


 そしてーーーーマッスルポーズをしながらこちらに走ってきていた。


「」


 あまりの唐突さに一瞬意識諸共吹き飛んだ。それは五条も同じで、柄に手を当てたまま固まっていた。


「あれはラット!しかも一番強いマッスルシリーズだ!」


 はぁ!?マッスルシリーズ!?なんて言う名前なんだ!


 あれが度々冒険者と筋肉の張合いをする筋肉ラット!外では友好的な種族だが、ダンジョン産のラットは自身の自慢の筋肉を見せつけながらこちらへ襲ってくることで有名である。


「ヒェッ………」


 後ろの方で何やら女子の悲鳴がした。


 うん、たしかにあれ見たら悲鳴上げたくなるの、すっごい分かるよ。でもね、俺ちょっと発狂しそうなんですけど。


「……っ!いけない!ここは俺がーーー」


「ほい」


 五条が正気を取り戻し、剣を鞘から勢いよくシャリィィィン!!と抜いた瞬間、シトラスの特に気の入っていない声が耳に届く。見ると、筋肉ラットは綺麗に真っ二つに割れており、シトラスは何やらを手を上から下へ切り落とした感じの状態でいた。


「………ふむ、半分ご主人のとこにあるとはいえ、力そのものは使えると……これは持続力が減っただけかのう…」


「…………………」


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