第21話
「それじゃあご主人、今からシトラスが教える
ゴブリンでも分かる魔法講座を始めるのじゃ。返事は『はい』か『いえす』なのじゃ」
うわぁ、意外と容赦ないかもしれん、この子。
てかゴブリンでも分かる魔法講座って……いや、いいや。実際ゴブリン並ーーーいや、それ以下だと思うし。
よろしくお願いします!シトラス先生!
「うむ、良い目なのじゃ」
うんうんと頷くシトラス先生。
「先程のとおり、魔法の威力は、生き物が持っている魔力量と、使い手のイメージ力の強さに比例するのじゃ」
シトラスが手を出すと、水玉が洗われ、うにょんうにょんとうねり出した。
「例えば、これは今我が、球体を、動く姿を、うねる姿を創造しておる、魔力は、考えているものを読み取り、それを魔法という形で、再現してくれるのじゃ」
「はいはい、先生しつもーん」
「はいそこ、ご主人」
てかなんだ?このノリ。なんかおかしなことになっているな。
まぁいいや。今は気になっていることを聞いておこう。
「例えばだけど、俺が大波とか、大嵐とか、明らかに分不相応なことをイメージしたらどうなる?」
明らかな大災害系の魔法……例えば、津波やらなんやらである。
「魔力があれば再現はできるだろうな……まぁその後、ぶっ倒れるか死ぬかのどっちがじゃ………そもそも、魔法は、考えているイメージの規模によって、使われる魔力の量が違うのじゃ。だから我でも精々大嵐が限度なのじゃ」
「………なるほどねぇ」
あれか。つまり、ゲームとかでレベルアップして覚えた魔法のMPが高い理由ってこれでしょ。
さて、そろそろ魔法を使ってみるか……最初はライターみたいに小さな火をイメージしてみる。
右手の人差し指をじぃぃぃぃっと見つめ、魔力の流れを意識する。指先に集めて………よし、光ったな。
「火種」
そう唱えると、小さな魔法陣が浮かんだ後に、大きさ大体役5cmほどの火が手からボッ!と出てきた。
「お……おおおお!!」
メルトさんから教えてもらった、超初級魔法火種。攻撃魔法には全然使えず、野営とかで火を起こすときによく使われる、『生活魔法』とか言われる一種の魔法である。
まぁそんなことよりも、すげー!本当に火が出た!意外と熱くないのな………。
「おぉ、ご主人、中々筋がいいのじゃ。流石勇者といったところかのう?」
「おぉ………」
しかもシトラスからの、お墨付きも貰えた。めっちゃ嬉しい。
なるほど……これが魔法か。
「……おや?智くん、無事に発動できたようですね」
「あ……はい!きちんと発動できました!」
周りの生徒を見ていたメルトさんが、俺をの姿を見つけ、更に俺の手から出ている火を見ると、嬉しそうにこちらへやってきた。
……いやぁ、やっぱあの時シトラスにメルトさんの正体?的な物を教えられてて本当に良かったかもしれん。この人の笑顔見ていると、警戒心が薄くなる気がする。
「それでは、次は攻撃魔法の方もやってみましょう。出来たら教えてくださいね」
「はい、やってみます」
メルトさんが後ろを向いた瞬間に、シトラスとの視界共有が発生し、周りの景色の色が変わり、メルトさんが黒いモヤで包まれる。
「……ご主人」
「…分かってる」
油断するなってことだろ?分かってる。そんな気は無い。
「………ほれ、早いうちに魔法じゃ、ご主人。感覚が覚えている内に、色々やるのじゃ」
「そうだな、もう一回火種やっとくか」
「最初は、魔力が無駄にもっていかれるから、魔力切れには気をつけるのじゃ」
「了解」
その後、訓練が終わる2時間後まで、シトラスに教えて貰いながらも、初級魔法なら一通り使えるようになった。
「…魔法、ですか?」
「うん、エリーも使ってたよね?」
だって
現在、夜ご飯を王から与えられている自室で食べている。うん、今日もお肉が美味い。
「そうですね、確かにあれは魔法です………智様は魔法についてどれくらいの知識を?」
「ご主人には、まだまだ知識面の方はあんまり教えてないのじゃ。属性があるとは教えたが」
ごくっ、と赤色のジュースを飲み干し応えるシトラス。
魔法には、火、水、雷、氷、土、闇、光の属性があることを教えられたな。
「私の魔法はそのどの属性の中にも含まれていないのです」
「ん?どゆこと」
「まだご主人には教えてない……というか、教える必要がなかったから教えてはないのじゃが、無属性魔法というものもあるのじゃ」
「無属性?」
これまたなんとも異世界テンプレでは?だいたいラノベだったらこのなんか特別感ある奴で無双するやつとかあるじゃん。
「はい、身体強化やその人だけがもつ固有魔法などなど………まぁ確かに智様には必要ありませんね」
なんで?身体強化とかめっちゃ必要そうじゃない?
「身体強化は、ほかの効果……例えば勇者因子での身体強化がご主人には施されているから、身体強化が機能されないのじゃ」
「そうなの?」
ちなみに、エリーのあれは重力魔法なんだって。固有魔法って滅多に人に現れないらしいから、凄いね!って褒めたら顔を赤くして照れた。可愛い。
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