第20話

 前書き


 3万PVありがとうございます!!


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 その後、五条にネコが子猫を咥える感じで背中の服を掴まれてプラーンとしたまま訓練場へつれていかれた。やだ、これなんて羞恥プレイ?クラスメートのお前何してんだ?っていう視線がすごい痛い。ちょっと女子、何か知らんが俺に嫉妬するな。癇癪起こせばこうされるぞ。


 ちなみに、シトラスは俺に抱き抱えられてるので、もっとカオスな空間が広まっていることをお知らせします。


「じゃあな大河。くれぐれも変な気を起こすなよ」


「言っとくが九割はお前のせいだかんな」


 怒ったかんな?許さないかんな?はしもとかーん以下略。


「来ましたね、智くん、こちらですよ」


「……うっす」


 一瞬メルトさんに声をかけられて変な間が空いたが、まぁ五条の方向を見出たので、いい感じに誤魔化せたでしょう。


「………………」


 シトラスが、こちらに背中を向け、クラスメートの女子に手取り足取り魔法を教えている姿をじーっと見ている。その女子はびっくりするほど赤面をしている。まぁ見た目はめっちゃイケメンだもんな。あんなに密着されて、しかも手とか触られるとか、赤面ものだよな。


 しかし、俺の目にはまだ、昨日の歓迎会の時にメルトさんをおおっていたモヤが目に残っているため、あんまり信用はできない。


 それはまぁともかく、俺も魔法の練習するか。なんとなくだけど魔力も感じとれるようになったことだし、今日ならなんかできるでしょう!


 シトラスを地面に下ろしてから、腰に差していた世界樹のつえを取り出した。


「……ぬ?ご主人、魔法の練習をするのか?」


「ん?……あぁ、やっと魔力みたいなもの感じとれるようになったから、そろそろ魔法行けっかなーって」


 地球にいた頃には感じ取れなかった明らかな異物。それに意識を向け、手のひらに集まるように指示をすると、それが手のひらに集まり、俺の手は光を放った。


「……おぉ、ご主人、中々魔力操作が上手いのじゃ」


「お?そう?」


「のじゃ、魔力を集めただけで手のひらが光るのは、魔力の操作が上手くいっている証拠なのじゃ」


 見ておるのじゃ、とシトラスが言うと、俺の手のひらの光とは比べ物にならないほどの光が手のひらから出た。


「眩し!」


「これが、魔法を発動する前の状態なのじゃ。そしてこれに、詠唱、又はイメージで魔力に形を与えてから、魔法を発動させる」


 そして、シトラスはそこら辺の木の上の方に手のひらを向けてからーーー


「水刃、発射なのじゃ」


 そして、シトラスの手から光が無くなると、それは魔法陣となり、三日月状に変化した水が素晴らしい勢いで気に向かうと、木の枝や葉っぱをスパパパーンと切り裂いていった。


「……………」


 俺はそれを見てポカーンとしていた。


「ちなみに、今のでも人なんて簡単に胴体がおさらばするくらいの威力を持っているのじゃ」


 ヒエッ……。魔法って怖い。


 体が震えた。


「………確かに、ご主人からしたら、魔法なんて簡単に人を殺せる凶器みたいなものなのじゃ。じゃがしかし、ご主人はこれから沢山の生き物を殺すのじゃ」


「…………………」


「魔物、魔族、そして場合によっては人もーーーー」


「………っ」


 いきなりやってくるこの世界のリアル。俺たちは、戦争のせの字も知らない17のガキ共なのだ。


「ご主人、辛いとは思うが、この世界でとは、そういうことなのじゃ………覚悟を」


「……………………」


 シトラスが俺を見る目は、いつもの感じではなく、俺を見定める目、魔王としての目で俺を見ていた。


 痛いぐらい、シトラスが俺を心配してくれていることが分かる。


 目を閉じる。俺たちは今、魔王軍との戦争のために力をつけている。


 やらなければ誰か死ぬ?俺か?それともクラスメートのみんなか?それともーーーーーーーー


「…………………うん」


 ゆっくりと目を開ける。


「………まだ覚悟は出来てないけどーーーー」


 ーーーーー君とエリーを守れるくらいには強くなりたいよ。


「………んま、合格……と言ったところかの。ギリギリ及第点じゃが」


「ははっ………厳しいなぁ……」


「魔王としての我ならギリギリの合格点じゃがーーー女としての我なら100点満点なのじゃ……とても嬉しく思うぞ、ご主人」


「……そっか、君が喜んでくれるなら、今は君の為に俺は強くなるよ」


「うむ、頼りにしておるのじゃ!」


 俺にはーーーいや、俺達には弱点が多すぎる。


 それは、まだ生き物を殺す覚悟が出来ていないということ。


 それでも、俺は君たちの為なら頑張れる。


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