第19話
「………まだなんか顔があちぃ……」
「………♪」
俺の腕を嬉しそうに抱きしめているシトラス。そして驚くほど真っ赤になっている俺の顔。
説明しよう。エリーとキスをしていると、シトラスも起きてしまい、そこから愛の告白をされてキスをされて………。
もうこんなん顔赤くするしかないやんっっ!!
無事二人の可愛さにノックアウトされた俺は、理性は納得しないまま、二人の告白を受け入れた。だって日本だったら一夫一妻制だしな……まだ理性がそこらへん追いついていないような気がするが……ま、いっかなぁって思っている自分がいる。
なんせ俺は自分でも自覚するほどに愛に飢えている。それこそ、俺の思考がたまに潤至上主義になるくらいには。
だから、二人の告白を受け入れたのも、多分そこから生じた願望……なのかもしれないな。あと多分勇者因子。
「智!」
「大河」
「潤………と、五条?珍しい組み合わせだな」
後ろから声が聞こえると、そこには俺の親友である緑川潤となんかたまに俺を頼りにする、勇者である五条亘が揃っている珍しい組み合わせだった。
「どうした?二人が一緒にいるなんて珍しいな」
真正面から抱きついてくる潤を片手で受け止める。だってもう片方はシトラスに取られてるし。あ、なんかいい匂いする。
「いやぁ……緑川がなんか襲われてて、偶然通りがかった俺とメルルが助けたんだけど…」
「潤……お前またあの
あの人って確か懺悔室に放り込まれてたってエリー言ってたよな?
「………それよりも智、この子なんだけど……」
「………………………………」
クイクイっと、俺の胸らへんの服を掴んで潤がシトラスを見る。すると、シトラスがじーーーっと潤のことを見ていた。
「……何を勘違いしているか知らんが、こいつ男だぞ」
「………のじゃ!?お、男!?」
「あ、あはは……はぁ」
シトラスが目を見開く。うんうん、多分最初は誰もが同じ反応だよね。街でいつも潤のことをナンパしようとしてる男と同じ反応だ。
「………ほぉ、確かに男じゃな……しかし……何故こんなにも可愛いのじゃ?ご主人の世界には不思議な人種がいるものじゃの……」
「いや人種て………」
「それよりも智、早く僕たちにこの子のこと説明して欲しいだけど。本当は昨日聞きたかったんだけど僕、色々と精神的に疲れてて聞けなかったし」
「そうだな。その子、昨日大河の魔法陣から出てきた子だろ?」
「……んー、そうだな。まずーーーーー」
そして、俺はメルトさんにした説明である、この世界の過去の英霊であるーーーという説明はせずに、正直にシトラスは異世界の魔王であるということを話した。
だって、俺基本的に潤に嘘つきたくねぇし、多分五条に至ってはなんか見抜かれそうな気がしたから。シトラスも特に何も言わなかった。多分五条の勇者としての何かを見抜いていたからに違いない。
「へぇ……こことは別の異世界の魔王か……まぁ実際異世界があるから不思議ではないな」
「だね。しかも魔王様なんでしょ!めっちゃ頼りになりそう!」
………おや?意外と好意的に受け入れてる?
「あ、智、今なんで受け入れられてるんだ?って顔してる」
「そりゃあ……大河とシトラスが嬉しそうに腕を組みながら歩いている姿を見たら誰だって悪い魔王とは思わないよ……」
「…………ん?」
なんて?
「……嬉しそう?」
「あれ?違ったの?てっきり僕、やっと智が人を愛せるようになった!って感動してたんだけど………」
「……………」
暫し放心し
「~~~~~~~っっ!!」
その後、俺の家庭事情を知る潤の言葉によりさらに顔を赤くした。
「ばっ!べ、べつに違っーーーーーーくはないけど……っ!!あぁ!もう!逃げる!」
違うと反論しそうになった瞬間、シトラスが一瞬悲しそうに顔をしたので、直ぐに思い留まったが、なんか、胸の中で色々と羞恥心やらなんやら混ざりあった結果。無様に逃走という情けない姿を見せることになった。
「のじゃ!?ご、ご主人!?」
シトラスの手を引いて、走る。今の俺はウ○イン・ボ○トを超える!
「お、おい!大河そっちは訓練場じゃなーーーーって早い!?大河!待ってくれ!そっちは違うぞ!」
そして、慌てて俺を追いかける五条。
「……そっか……良かった。本当に良かったよ、智……」
潤のつぶやきは俺に聞こえることは無かった。
結局、俺が五条に捕まったのは三分後だった。かなり強化されたハズの俺を捕まる五条の勇者としてのポテンシャルよ………。
「さて、僕もマクスウェル猊下の所に回復魔法をーーーーー」
「潤様ぁ♡」
「す、すいません!潤様!お逃げ下さい!どうか早く!猊下の所へお逃げ下さい!」
「智ーー!!!」
こっちもこっちで鬼ごっこが開始されていた。
ちなみに、メルルというのは五条の勇者メイドのことである。
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もはや潤君は困った時のオチとして活用している。
なんかごめんね?
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