第6話
「………んっ」
脳が起きるのを感じる。眠っていた体が徐々にスイッチが入って意識の覚醒を促す。
……ってなんか首が痛てぇ。昨日確かエリーに物理的に眠らされたんだっけ?リアルで首とんをされるとか中々ない経験だったな。もう二度と経験したくない。
後なんか足がなんか重い。まるでなんか人の手が置かれているようなーーーー人?
あれ?結局俺ってエリーと添い寝っていうか一緒に寝たの?俺が先に眠っ(気絶)ていたからそこら辺分かんねぇ。
パチッ!と目が覚める。目の前に広がるのは知らない天井。
「知らない天井だ……」とか言ってみたいけど今は1回スルー。視線を右にーーーいない。視線を左にーーーいない。視線を下にーーーなんか不自然な程に盛り上がっている。
「……っ!何をしてるんだエリーーーーーー」
ガバッ!と上半身を起こしてかけられていた布団を剥がす。
「………………」
すると、そこには俺の見事に朝から張っていたテントを頬を赤らめさせながら四つん這いで間近で見ているエリーの姿がそこにはあった。
「「………………」」
エリーが視線をテントからチラッと外して俺と目が合った。そして何を思ったのか生唾をゴクリ、と飲み込んでからテントに手をーーーーー
ペシっ。
それはダメなのではたきました。
「……そ、その。他の男性のを見たことはありませんが………ご立派だと思いますよ」
「やめろ。まじでやめろ」
何が悲しくて朝から美少女メイドに生理現象のせいで屹立した俺の息子を話題にせねばならんのだ。
配膳台からいつものように今日の朝ごはんを部屋のテーブルにせっせと置いていくエリー。朝ごはんはパンとなんかのスープとなんかの魚という中々朝からガッツリである。
「………な、中々朝からボリューミーだな」
話題の方向性を変えるためにもエリーに話を降っていく。
「はい。この料理は我が国に仕えている騎士団の方たちと同じですので。朝からこれくらい食べないと騎士団の方々、途中で倒れちゃいますので」
と、俺よりも半分ほどしか乗っていない皿を自身の席の前に置いてから席に着いた。
「それでは、女神アテナの恵に感謝を」
とエリーが言った。簡単に言うと異世界版のいただきますだな。
「いただきます」
両手を合わせて今日も、朝から美少女メイドと卓を囲んだ。
それから、ご飯を食べながら会話に花を咲かしていると、エリーがとんでもないことを言ってきた。
「あ、そういえばこの後王様がお呼びです。ご飯を食べた後ご案内致しますので」
「エリーさん?そういうこともっと早く。できるならご飯食べる前に教えて欲しかった」
え?この後王様にあうの?心の準備がちょっとまだ出来てないですけど。
「ちなみに何するかとか聞いてる?」
「はい確かーーーーー」
開けた窓から風が入り、カーテンがバサバサっと靡いた。
「ーー『天職鑑定』でございます」
天職鑑定。人間は必ず持っていると言われている、女神アテナの贈り物。
天職は言うなれば才能。つまり、教師という天職だったら教えるのがめちゃくちゃ上手くなる的なやつである。
もちろんこれにもレア天職とノーマル天職の2種類があり、一般市民はノーマル天職が多く、貴族にレア天職が多いという傾向があり、エリー達勇者メイドはその枠どれにも当てはまらないエクストラという特別な天職だという。
さらに俺たち異世界転移組は、アテナの加護ーーー所謂勇者因子を直接取り込んでいるため、アテナからの贈り物である天職は全てレア、しかも能力も桁違いになるという性質を持つ。
なるほど、つまりチートですね分かります。でも俺たち呼ばないと魔王倒せないんでしょ?どんだけ強いのよ魔王………。
「こちらです」
エリーに連れてこられた場所は、昨日も来たあの部屋だった。エリーが扉を開けると既にそこには何人かのクラスメートの姿が。
一瞬チラッ、と全員の視線がこちらに向いたが、直ぐに興味が失せたのか、友達で会話をしたり、メイドさんに話しかけたりした。
一人を除いては。
「おはよう大河!」
そう、リア王である五条亘である。あ、四大悲劇のリア王ではないぞ。
「お、おう……おはよう五条……」
ついつい五条特有のキラキラオーラに少しふらついてしまった俺。後ろからエリーがさりげなく支えてくれた。
「大丈夫か?昨日は眠れたか?こんな状況だからな、やはり不安で眠れない人が多くてな……」
「………おお」
普通に感動した。こんな状況下の中、冷静にクラスメートのことを心配するとか流石完璧超人。
「さっきも何やらふらついていたし」
「……あ、あぁいや。大丈夫だ。少し寝すぎてふらついただけだ」
本当はお前のキラキラオーラにやられたんだけどな。
「そうか。大河も大事な仲間だからな。何か困ったことがあったは相談してくれ!いつでも話は聞いてやるからな」
「……お、おぉ…そんときは頼むわ」
こくこく頷く。その後五条は何やら名前をトップカーストに位置する女子たちに呼ばれたので、俺に手を振ってから女子たちの元へ行く。俺もついつい手を振り返してしまった。
「………物凄いかっこいい人ですね」
「……なんだ?エリーはあいつが好みなのか?」
言ってから少々嫌味っぽく言ってしまったことに心で軽く反省。
「………嫉妬、ですか?」
「………………………」
「……ふふっ、安心してください智様」
エリーは後ろから俺の両肩に手を置くと
「私の中の1番は、智様だけですから」
「………っ!」
と、耳元で囁いてきたため、顔が赤くなってしまう。
「おはよう!智!あれ、なんか顔赤いけど大丈夫?」
まじ助かった潤。
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