第5話
「……おぉ、これは広いな…」
ご飯を食べたあと、少々大袈裟なエリーの誓の儀式が終わったあと、エリーに進められるままにお風呂場へやってきた俺。運がいいのか、既に全員入ってしまったのかは知らないが、このだだっ広いふろ場には俺一人だけ。
………これはっ!念願のいつかお風呂場で泳ぐという心の内に秘めていた願いがーーーー。
「なりませんよ、智様。お行儀が悪いです」
「ですよねー」
うん。分かってたよ、流石にやっぱ異世界だろうってうおおおおお!??!?
「え、エリー!?」
「はい、あなただけのメイドのエリーですよ」
え、なにそれ可愛い……じゃなくて!
にこりと可愛らしく笑うエリーからタオルで股間をガードする。しかもエリーは何も纏っていないぞ!!やばいやばい!!
咄嗟に鼻を抑えて顔を横に向ける。
「な、なんで!エリーがここに!?」
「メイドですから」
「答えになってません!」
と、とりあえず何とかしないと……!このままだとのぼせるか鼻血を出してぶっ倒れる!
「智様、これは必要な事なのです」
諭すように俺に言葉を投げかける。近づいてくる足音がぺちぺちと聞こえるので慌てて目を閉じた。
「いいですか智様。私は先程女神アテナ様ーーー智様達を召喚してくださいました女神へ契約しました。先程私の体が光ったのは正式に私が智様としての勇者メイドとしての力を十全に発揮できるということです」
ペタッ……。俺の目の前でエリーが止まる気配がする。
「勇者メイドとしての能力は勇者様の魔力、力、その他もろもろなものを二倍にしますが、その関係が強固になればなるほど、勇者メイドの力は強力になります」
ぐりん!と俺の両頬を手で掴まれると同時に顔の向きが強制的に変えられる。
「……っ!」
急なことに驚いてしまい、目が開いてしまい、エリーの強力的でとても魅力的な全裸が俺の目の前に降臨する。
「だから……智様、私ともっと……もっと深く…」
「エ……リー…っ!」
ドクン!
心臓が一際強く、振動した気がした。エリーが目を閉じ、俺の顔へエリーの顔が近づいてくる。
ドクン!!
体が欲しがる。目の前にいるエリーを本能的に……いや、本能とは別の何かがエリーを求めてしまう。
左手が、エリーのおしりを掴んだ。
「んっ……智様……」
右手がエリーのほっぺたに吸い寄せられ、俺の口とエリーの口がゼロ距離にーーーーー
「ふんぬーーー!!」
「智様!?」
ーーーなるまえに全力で俺の理性はフル動員し、俺は自分で自分を殴った。
あ、あっぶねぇ……危うく俺のファーストキッスが超美少女専属メイドさんとなる所だったぜ………あれ?これって今思えば結構役得?
……いやいやいや、自分の意思じゃなくて勇者の因子に振り回されている時点でダメだろ………やるなら自分の意思がいいし……。
「だ、大丈夫ですか!?智様!」
心配して俺の頬をなでなでと優しく撫でてくれるエリー。あぁ……凄くいい…凄くいいが……。
「……すまないエリー。頼むからタオルを体に巻いてくれ」
鼻血出そうでやばいんですホント。勘弁してつかぁさい。
「んしょ……痛くはありませんか?」
「あぁ……うん、丁度いいよ……」
結局タオルを巻いたエリーに押して押して押されまくった結果、一緒にお風呂を共にすることに。とほほ……美少女の上目遣いは最強だよ……。
「………前もお洗いしましょうか?」
「それは絶対にダメ!」
本当に!本当にやめて下さる!?まだ俺たち出会って一日よ一日!俺ら今日がナイストゥーミーチューなの!分かる!?初めましてなの!
可愛らしいお嬢さんがそんなこと言うんじゃありませーーーん!!
と、心の中では色々と言えるが、現在の俺はめちゃくちゃ顔が赤くなっている。
「……よいしょ……。智様、お背中終わりましたよ」
「うん……ありがとうエリー」
んしょ、と俺にもたれ掛かりシャワーのハンドルを回すエリー。おい、これ絶対わざとやってるだろ。そうだろ?おい、胸押し付けんなこら。
その後もエリーからのちょっと大胆なスキンシップは続いた。一緒に風呂に入る時にわざわざ隣に座ってくるし、わざわざ肌と肌を合わせてくるし………俺、なーんか急に別の意味でドキドキしてきたぞー?
ちなみに就寝時には添い寝まで強要されました。めちゃくちゃ顔を赤くしながら拒否ってたら、有無を言わさずに寝させられました(物理)
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