第1話
「よく来た、異界の勇者たち」
……………えーはい。どうやら俺達は異世界転移ーーーその中でもクラス転移に分類されるものに巻き込まれました。
発端は簡単に。昼休みに飯食ってたら床が光って気づいたらここ。はい終わり。実によくある展開である。
まぁ呼び出された俺達にとってはふざけるなと言った感じですが。
「……智」
隣にいて心配そうに俺ーーー
「突然の事で驚きかと思うがーーーー」
俺達の頭は碌に働きもしないままに、国王と思わしき人物が話す。
「ーーー今回、貴方たちを呼んだのは他でもない。どうか、どうか我々を救って欲しい」
あれから何やらひろーい部屋に連れていかれ、国王と思わしき人の説明が始まったーーーそういやこいつ名前名乗ってねぇよな?
簡単に噛み砕くと魔族強いからこのままだと人間負ける。だからごめんけど魔王倒してくんない?という俺が話を聞いていた思ったことを簡単にした。大体こんな感じ。
潤がラノベを読んでいるから俺も多少は読むが、どうしてこう、テンプレなのかね?面倒な予感しかしないのだが……。
「ね、ね、智!!」
「分かった……異世界が嬉しいのは分かったから潤……少し落ち着け」
嬉しそうに袖をクイクイっと引っ張る潤。男に袖くいやられても嬉しくないんだが。潤は可愛いから別だけど。
だがしかし、潤のようにワクワクするやつなんて俺たちのクラスでは精々五人程度。
当然ーーーそういう知識や憧れがないやつは怒り狂う。
ふざけんな!!家へ返せ!!などの罵声や怒り声が広間へと響く。その様子を見て、国王の隣に控えていた騎士みたいな人が腰に差している剣の柄を握ったが、王はそれを静止した。
………おや、どうやらいい人そうだな。それは良かった。
怒鳴り声が響く広間。しかし、1人の人物が立ち上がると、それも静かになった。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能、それに優しいと来て家事万能エトセトラエトセトラ。こいつの欠点を探すのが難しいくらいの完璧超人である。
当然奴に擦り寄る女子は多く、カーストトップの位置に上り詰めるのは物凄い簡単だっただろう。まぁ別に嫉妬なんか全然しないけどな。完璧すぎて。あほらし。
「みんな!俺はーーー俺はこの人達を救ってやりたい!」
はい出ました。お人好しっと。
俺はこっそりとため息を着いた。
とはいえ、俺だってこの状況にちょっとだけワクワクはしている。国王が配慮をしてくれて、今日はもう休んでいいことになっているので、大人しくベッドへと横になる。
だがしかし、全くもって眠くはないし、俺はこういったことに理解はある方なので、そんなにも疲れてはいないし………そうだな。
「あの」
「はい、如何しましたか?」
今日だけ全員に貸し与えられた専属メイドさんーーーめっちゃ美人ーーーに俺は話しかけた。
「ここって図書館みたいな所あります?」
「……なるほど、智様はとても勉強熱心なのですね」
「別にそんなわけではないのだが……」
本を運ぶのを手伝ってくれるメイドさんの言葉に返す。
あ、ちなみにこの人の名前、エリーさんと言うらしい。可愛い名前ですねと言ったら少し照れてくれた。フッ、クラスメートたちの前では絶対に出来ねぇなこんな真似。
しかし、照れる要素があったかどうかは謎である。潤曰くそれなりには整っていると言われたが……まぁ五條と比べたら月とスッポンか。
さてさて、色々とズレたが、俺がエリーさんに図書館へと案内してもらった理由は、どうせこれから訓練とかするだろうから早めに魔物とかの情報を覚えた方がいいだろうという判断である。
よいしょ、と魔物に関する本を図書館のテーブルの上に積み上げる。種類が多すぎて一冊の本にはまとめきれないとエリーさんが言っていた。
「私もお手伝い致しましょうか?特に図鑑だけでは知りえない情報とか」
「是非お願いします」
俺は魔物図鑑~倒すならまずはコイツらだ!~と何故か読める異世界文字が書いてある本を手に取った。
隣同士に座り、俺とエリーさんの真ん中に置いて、二人が見れるように置いた。
「……恐らく、智様たちが最初の魔物討伐訓練に使うダンジョンから考えて……」
ペラペラとエリーさんがページを捲り、しばらくしたところで止まった。
「まず、ゴブリンです」
「お、それは聞いたことがあるぞ」
「左様ですか?」
「あぁ……えーっと、聞いたことがあるって言うのは俺たちの世界ではゲームっていう遊びや、小説の中の架空の存在としてよく出てくるんだ」
「……なるほど?そのげぇむとやらは私にはよく分かりませんが……知っているのなら説明は省きましょうか?」
「………いえ、その、俺たちが知っているゴブリンとは違う可能性があるから、聞いては起きたい……」
ゲームだと人の村を遅い、食料を強奪する。ちょっとエッチなやつだと女性も攫うゴブリンもいるからな。
「そうですか。やはり智様は勉強熱心ですね」
「………そうかな?」
普段学校の勉強は全然しないため、俺は首を傾げたのである。
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