第103話 従姉妹達の洗礼
最後の今泉姉妹の多恵叔母さんの到着が遅れているが、とりあえず出迎えが終わったので琥珀の元に戻る。すると、案の定琥珀は我らが姉たちに囲まれていた。
相変わらずBGMに祖父と父のやり取りがあるのは、デフォルトなので仕方ない。
「あっくん!」
俺を見つけると嬉しそうに微笑む琥珀。その笑みだけで、なんかもう出迎えの疲れが取れるようだった。まあ、そんな俺たちをニヤニヤして見守っている姉たちは気になるが。
「少し離れてたけど、大丈夫だった?」
「うん、お姉さん達皆優しかったから」
「そっか」
まあ、従姉妹達が琥珀を虐めるとは思わなかったけど、その言葉に一安心する。
「暁斗……めっちゃデレデレだね」
「……ん、完全にベタ惚れ」
「あーん!暁斗がお嫁さんにいっちゃう!」
「麗奈、男だからお婿さんだよ。あ、でも暁斗に琥珀ちゃんが嫁入りなのかな?」
順に、結女姉さん、未来姉さん、麗奈姉さん、梨花姉さんだが、麗奈姉さんは俺を女の子とでも思っていたのだろうか?勘違いだと思いたい。
「あき兄!遊ぼ!」
そんなやり取りをしていると、1人で遊んでいた慎二がそう言ってくる。本当はもう少し琥珀と触れ合っていたいが……仕方ないか。
「分かったよ。何して遊ぶ?」
「えっとねえっとね!ビーダッマーンだよ!あき兄の分もあるからやろ!」
ビーダッマーン?ああ、そういえば、この頃流行っていたビー玉を飛ばすロボットみたいな奴のことか。
「じゃあ、少しだけね。琥珀、終わったらゆっくりしようか。それまで悪いけど姉達の相手を宜しくね」
「うん、お姉さん達とお話してるね」
「ついでに、暁斗とのイチャイチャした話も聞けそうだしねぇ」
「……ん、弟の貴重な恋話。シロちゃんとももっと話したいし」
「シロちゃんのことはお姉ちゃん達に任せなさい!」
「という訳だから、気にせず遊んできなさい」
最後のそんな頼りになる梨花姉さんの言葉に少し安心する。ところで、シロちゃんって琥珀のことだよね?何故にシロちゃん……って、ああ、琥珀で、ハクの部分をシロにしたのか。少しいいけど、俺は琥珀呼びがしっくりくるし、あだ名は従姉妹に任せるとしよう。
その後、多恵叔母さんがやってくるまで、俺は従兄弟の慎二とビー玉遊びに興じるのだった。近くで琥珀が従姉妹達に色々聞かれて恥ずかしそうに答えてるのはなんとも、可愛らしいけど、今すぐ相手を出来ないのが少しもどかしくもあった。まあ、多恵叔母さん来てから、一段落したらゆっくり相手をしよう。
というか、そろそろ琥珀をちゃんと愛でないと俺が持ちそうにないからね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます