第101話 義妹を愛でよう
「結女ちゃん!未来ちゃん!久しぶり!」
「麗奈ちゃん、久しぶり!」
「……ん。梨花も変わってない」
「未来姉さんもね」
ハイテンションで挨拶をする麗奈と結女。それとは対称的に落ち着いた雰囲気の未来と梨花。恒例の挨拶を済ませてから、早速2人は先程から囲われていた琥珀に声をかける。
「えっと、あなたが暁斗の彼女さんだよね?」
「は、はい……桐生琥珀と言います」
「琥珀ちゃんね!私のことはお姉ちゃんと呼んで!」
「……麗奈。うるさい」
「でも、暁斗の彼女なんだよ!なら、私の妹も同然だよ!」
「……それなら、私もそう。お姉様と呼んで」
「あ、じゃあ、私は姉さんで」
あわあわする琥珀に各々がそんな要望を出す。そんな自由な麗奈、未来、結女の3人に呆れたように梨花は言った。
「皆、少し落ち着きなよ。琥珀ちゃんびっくりしてるから」
「むー、梨花ちゃんも呼ばれたいでしょ!」
「そうだけど、まだちゃんと自己紹介してないからね」
そう言ってから、梨花は琥珀に優しく声をかけた。
「えっと、私は梨花って言います。暁斗の従姉妹だけど、お姉ちゃんみたいなものかな?」
「狡い!私もお姉ちゃんだよ!」
「はいはい。で、こっちは妹の麗奈。多分親戚で1番暁斗のことが好きな姉だよ」
「麗奈だよ!琥珀ちゃんだよね?じゃあ、シロちゃんて呼ぶね!」
「し、シロちゃん?」
琥珀のどこを変換したら白というあだ名が出てくるのかと、考えて、ハク=白ということだろうと少し納得する。本当は少し違うが、まあ、あだ名はなかなかないので少し嬉しい。
「……ん、じゃあ、私もシロちゃんって呼ぶ」
「んー、私は琥珀ちゃんかな?だって、そっちの方が可愛いし」
「じゃあ、私もそうするよ。私達のことは好きに呼んでいいからね」
麗奈、未来がシロちゃん呼び、結女、梨花が琥珀ちゃん呼びがこの時確定した。あまりにもあっさり受け入れられたようで、琥珀は少し戸惑ってしまうが、そんな琥珀の気持ちに気づいたのか梨花が苦笑して言った。
「ウチの一族は割と緩いからね。それに、人を見る目はあるから、暁斗が連れて来た人なら文句なんてないよ」
「そうそう!ようこそ、今泉一族へ!」
「……ん、歓迎する」
「なので、早速暁斗との恋話聞かせてねぇ」
どこか暁斗の母親や暁斗から感じる優しさの片鱗が見えた気がした琥珀。きっと、こんな親戚だからこそ、暁斗も優しく育ったのだろうとも思った。まあ、実際には暁斗は琥珀だからこそ、優しくしてるだけなので、後にその勘違いに気づいた暁斗から愛の嵐を受けることになるが、この時の琥珀は知らないのだった。
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