第100話 華夜伯母さん

「きゃー!何この子!凄く可愛い!」

「……ん、可愛い」


早速、未来姉さんと結女姉さんを琥珀の元に案内すると2人は琥珀を気に入ったようでめちゃくちゃ構っていた。それはいいけど、未来姉さんの触り方なんか変に手馴れてるような気がするのは俺だけかな?


「未来は相変わらず女の子好きだしなぁ」


ポツリと呟いた亜希伯母さんの言葉で全てを察した。そうか、無口な我が姉は百合の道がお好きなのか……本気で手を出される前に遠ざけないとな。


「ねぇねぇ!暁斗のどこが好きになったの?」

「ふぇ!?そ、それは……」

「……ん、素直に答えるべき」


楽しげなやり取りだが、それを見届ける前に俺はお祖母ちゃんと共に玄関にまた向かう。さっき駐車場にもう1台止まるのが見えたからだ。


亜希伯母さんとは対称的な落ち着いた雰囲気の女性は俺を見ると微笑んで言った。


「お母さん、暁斗。久しぶり」

「あーきとー!」

「あき兄!」


そして、それと同時に2つの影が俺を襲ってきた。


「……麗奈姉さん、慎二、痛いってば」

「えへへ、久しぶりの暁斗だぁ」

「あき兄あき兄!遊ぼう!」


1人は、華夜伯母さんの次女の麗奈姉さん。もう1人は数少ない今泉家の男である慎二だ。麗奈姉さんは中学三年生、慎二は確か5歳だったかな?


「本当に2人とも暁斗のこと好きだよね」

「梨花姉さんも久しぶり」

「うん」


そして、もう1人、後ろでその光景に呆れていた長女の梨花姉さんがいたが、こちらは出会い頭にタックルをかますようなことはしないので安心出来る。


「暁斗、彼女紹介してくれるんでしょ?」


そして、その梨花姉さんの言葉に麗奈姉さんは固まった。


「……え?彼女?」

「あれ?お母さんから聞いてないの?なんか、今回は暁斗が彼女を連れて来るって言ってたよ」

「暁斗の彼女……つまり、私の妹ね!」


何を言うとかと思って少し心配していたが、まあ、麗奈姉さんが琥珀を虐めることはないか。


「あき兄!遊ぼ!」


そして、慎二はそれすらどうでもいいらしく、俺と遊びたがっていた。なんか、改めてフリーダムな人が多い気がしてきた。琥珀とゆっくり出来る時間があればいいけど……


「暁斗、早く彼女さん会わせてよ」

「梨花姉さんも興味あるの?」

「だって、普通に考えて本家に挨拶って結婚とか囲い込みとかが目的でしょ?暁斗がそこまでする人を見てみたいのよ」


梨花姉さんは高校二年生、彼氏もいるらしいが、流石に本家に連れてきたことはない。だからこそ、俺の手法に感心しつつ興味があるのだろう。まあ、気持ちは分かる。





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