第97話 祖父母陥落
「は、初めまして。桐生琥珀です」
ガチガチに緊張しながらもなんとか自己紹介をする琥珀。お祖父ちゃんはキリッとした顔をしており、それだけ見ると厳格そうなお爺さんに見えるね。
そんなプレッシャーをかけるお祖父ちゃんをスルーしてお祖母ちゃんが笑顔で言った。
「琥珀さんですね。初めまして、暁斗の祖母の
「祖父の
「よ、よろしくお願いします……」
「ふふ、そんなに緊張しなくてもいいんですよ。孫の暁斗が選んだ人ですもの。私もこの人も可愛い孫には幸せになって貰いたいですから」
柔和な笑みを浮かべるお祖母ちゃんに少しホッとする琥珀だが、お祖父ちゃんのプレッシャーはまだまだ続いてるようでそちらを見るとビクッとしてしまう。
「お祖父ちゃん、琥珀怖がるからいつも通りにしてよ」
「む?そうか?」
「そうですよ。孫が可愛いのは分かりますが、そんな顔していると嫌われますよ?」
「むぅ……分かった。して、琥珀ちゃんじゃったな」
「は、はい!」
「暁斗のどこに惚れたんじゃ?」
んー……その質問今必要なのかな?
「えっと……あっくんは、優しくて、カッコよくて、いつも私のこと守ってくれて、こんな私のこと好きだって言ってくれて……そんなあっくんのことが私は昔からずっと好きで……側に居たいなって」
あまりにも純粋な笑顔に黙り込むお祖父ちゃん。お祖母ちゃんも少し呆気に取られたような表情をしていたが、すぐにくすりと笑って言った。
「私達の孫は随分と愛されてるのね」
「あ……」
夢中だったせいか、少し恥ずかしそうに俯く琥珀。正直、祖父母との挨拶中でなければ抱きついて愛でていたかもしれないくらい可愛かった。
そんな中で、祖父が何故か震えていたが、やがてポツリと言った。
「……琥珀ちゃん」
「は、はい!」
「うぅぅ……なんて良い子なんじゃ!暁斗のことをそこまで想っておるとは……!よし!今日からワシのことはお義祖父様と呼ぶがいい!」
どうやら感動してただけらしい。感極まって嬉しい暴走をしてくれてるので助かる。
「お、お義祖父様……?」
「あなた、早すぎますよ。でも、そうですね。暁斗のことよろしくお願いしますね、琥珀さん」
「……!はい!」
あまり心配はしてなかったが、出会って早々に琥珀は俺の祖父母を魅了するのだから、琥珀は天性の人たらしなのかもしれない。いや、今泉の血族を魅了する才能?確実なのは俺を魅了するその小悪魔以上の魅力だろう。
結論、琥珀はどこにいても可愛い (キリッ)
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