第96話 祖父と祖母
「あーきーとーぉ!!!!!」
本家に到着して、父さんが車を止めてから、先に俺が着いたことを報告しようと思い扉を開けると厳格そうなお爺さんが扉からこちらに向かってきた。もちろん、俺は避けるけど、地面に着地してからいつもは厳ついはずの顔を嬉しそうに緩ませてくるので、苦笑してから俺は言った。
「久しぶり、お祖父ちゃん」
「本当じゃぞ!お正月以来全然顔見せないで!」
「ごめんって、これでも中学生になって色々忙しくてさ」
「テニスでいい成績出したそうじゃな!紗季から聞いたが、流石ワシの孫じゃな!」
嬉しそうにする祖父には申し訳ないが……そこまでいい成績では無かったんだよねぇ。でもそうか、母さんが既に報告済か。
「暁斗。久しぶりですね」
そんな風に祖父と話していると、凛とした和服が似合う母さんより少し大人びた女性が扉から出てきた。
「久しぶり、お祖母ちゃん」
まあ、俺の祖母なんだが、昔から俺はこの祖母をお祖母ちゃんと呼ぶのが少し違和感があったりする。だって、そこそこ若い見た目の母さんよりも少し年上にか見えないんだもん。
目の前の祖父は一見すると凄く頑固そうなお爺ちゃんに見えるんだけど、祖母に関しては俺が幼い時から……いや、俺が働いてた前の時でも姿が変わってないんだよね。お姉様とか呼んでも違和感ないけど、祖母的にはお祖母ちゃんと呼ばれたいそうなので、しっかりと呼んでいる。
「少し背丈が伸びましたか?勉学も部活も順調だそうですね。それと、彼女が出来たとか」
「なに!そうなのか!?」
「紗季に電話で聞いたでしょうに」
呆れる祖母だが、まあ、祖父は時々抜けてるところがあるから仕方ない。
「幼なじみの女の子なんだけど、俺から告白して春から付き合ってるんだ」
「そうですか……少し特殊な事情もあると聞きましたが」
「うん、それは後で話すよ」
「暁斗が結婚……」
「あなた。段階をとばしすぎですよ。まだお付き合いなんですから」
いつもなら頷くところだが、俺はあえて微笑んで言った。
「うーん、婚約者みたいなものかな。だから間違ってはいないと思うよ」
「婚約者?なるほど……では、孫の婚約者の顔とついでに娘と娘婿にも久しぶりに会いましょうか」
「ん?連れてきとるのか?」
「いるよ。紹介してもいいかな?」
「構いません。連れてきてください」
そうして許可を貰って俺は琥珀を呼びにいく。なんか、お祖父ちゃんが今更髪型整えて威厳を出そうとしてるのは少し笑いそうになるが、琥珀を2人に紹介して、更に琥珀を囲い込みたいので手段は選ばないつもりだ。
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