第84話 マスコットキャラは……
夏休みということもあり、遊園地は親子連れが多いように思えるが、多分某有名遊園地だとこれ以上なのだろうと思われる。なるほど、近場のそこそこ知名度の高いところを選んだ父さんは正解なのかもしれない。
「あっくんあっくん、凄いね〜」
「だね、はぐれないように手を繋いでおかなきゃね」
「……うん!」
嬉しそうに俺と手を繋ぐ琥珀。ちなみに、両親は言わなくても手を繋いでいるのでなんか少し悔しい気もするが、琥珀の嬉しそうな表情を見ればそれはなくなった。
「あ、あっくん!あれ!」
そんな可愛い琥珀が最初に目をつけたのは、この遊園地のマスコットキャラクター、オスのカワウソのベッキーくんと、メスのカワウソのキャンディーちゃんのカップルだった。
デフォルメされてカワウソがキモ可愛くなったような姿は琥珀的に光るものを感じたようだ。風船を持って子供達に配っていたり、写真と一緒に撮ったりと大忙しのようだ。
しかし、この熱い中ご苦労なことだ。着ぐるみのバイトって凄く大変だからある意味尊敬するよ。さて、琥珀的にはあのぬいぐるみとの写真撮影をご所望みたいだけど……中身オッサンの可能性が高いから悩ましいところだ。
キャンディーちゃんならワンチャン……あるか?結構小柄だし女性の可能性も高いかもしれない。
「琥珀的にはどっちが気に入ったの?」
「うんとね……キャンディーちゃんかな?すっごく、可愛いの」
えへへと笑う我が天使琥珀たん。うんうん、君の方が何倍も可愛いよ。というか、むしろ君が可愛すぎて俺は萌え死にそうだよ。
「じゃあ、一緒に写真撮って貰おうか」
「うん!あっくんも一緒にね」
「分かったよ」
まあ、マスコットにはそこまで興味無いけど琥珀と写真撮れるならいいかな。あまり個人的には写真とか好きじゃないけど、琥珀を撮ったり、琥珀と撮るのは好きだ。
「あの……お願いします!」
近くにいた従業員らしき人にカメラを渡して、俺達はマスコットに挟まれる形で写真を撮る。琥珀はキャンディーちゃん側、俺はベッキーくん側だ。
撮り終わると琥珀はキャンディーちゃんをもふもふしてから満足気に、幸せそうにお礼を言って離れていく。ベッキーくんも何故か俺に『Hey!boy!welcome!』的な感じだったがスルーした。めちゃくちゃアピールしてきたが、何故ベッキーくんそんなにノリノリなの?
まあ、キャンディーちゃんも心做しか満足気に見えたんだけど……なんなのこのマスコットのカップル?中の人はまさか……いや、よそう。当たってたら怖い。さっきも写真撮影の時に俺の尻を若干ベッキーくんが撫でたような気がしたがスルーだ。
琥珀に被害は無さそうだし、満足したようなのでとりあえずマスコットのことは忘れよう。そんな感じで琥珀との遊園地デート(両親アリ)が始まったのだった。
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