第41話 雨の日は
「よしよし、大丈夫だからね」
「うん……」
結局寝る前になっても雨は全く止む気配はなく、さっきも1回停電するようなことがあって、琥珀の心身が休まらないようなので少しでも眠れるように俺はベッドで琥珀を抱きしめていた。
いつもの添い寝との違いは、俺が琥珀を優しく抱きしめてるところかな?いつもは少し恥ずかしいけど……でも、みたいな感じで控えめに手を繋いだりするくらいで、こんなに俺がガッツリ包み込むのはあまりないことだ。
とはいえ、前例が無いこともないが……
「そういえば、昔からダメだったもんね。覚えてるかな?小さい頃に俺の家で泊まった時に今日みたいにかみなりが鳴ってさ。琥珀が落ち着くように俺が耳塞いでいたの」
「うん……覚えてるよ」
今にして思うと、ロリ琥珀がめちゃくちゃ可愛いと思います(ロリコンだと思う?琥珀にならそのレッテルも悪くないかな)。いや、マジで可愛くてさ、昔の俺は本当に惜しいことをしたと思うよね。そんな穢れてる俺に対して琥珀は少し落ち着いてきたように微笑んで言った。
「あっくんとの思い出は絶対忘れないよ。だって……私の宝物だもん」
…………ふぉォォォォォォ!!!!!今の暁斗さんの中でめちゃくちゃ高ポイント!もうさ、なんでこんなに健気なの?もう、幼なじみの鏡ですよ。こんな可愛い女の子が彼女の俺ってめちゃくちゃハピネスだよね(キリッ)
まあ、こんなに尊いものが失って初めて分かるのは本当に皮肉だと思うけどね。なんで俺はくだらない見栄を張ったのだろうか?あの時本心で動ければ救えたはずなのに。
いや……結果的にそうでもしないと本当に大切なものって気づきにくいのかもしれない。特に現代社会においてはそれが顕著だろう。
だから……もう二度と琥珀を失わない。二度と琥珀を傷つけさせない。例え何があっても琥珀を守ってみせる。そんなことを言えばきっと琥珀は俺の心配をしてしまう。だからこそ、俺も何があっても琥珀と共にいる。
俺は琥珀を抱きしめながら優しく頭を撫でて言った。
「俺にとっては琥珀が何よりも宝物だよ。だから……ありがとう」
今の俺は琥珀のお陰である。琥珀がいるから何でも出来ると思うし、琥珀のためなら何でもしてやる。俺の腕の中で嬉しそうに微笑む琥珀を絶対に俺は守ってみせる。俺は特に優れた才能がある訳でも、顔が良いわけでもない、少し体力があるだけの無力な存在だ。だけど……前の時からのこの想い、琥珀への想いだけなら誰にも負けない自信がある。
そんな風に俺得な雨の日の出来事だったのだった。
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