第40話 カミナリ
「しかし、よく降るねぇ……」
時期的なものだろうか、外は大雨で風も強かった。琥珀はさっき風呂に向かったようだしまだ大丈夫かな……なんて思っていたら、それは起こった。
ゴロゴロ――さっき一瞬光ったと思ったら轟音が聞こえてくる。その稲光が降った瞬間に風呂場から琥珀の悲鳴が聞こえてきたので、俺は慌ててそちらに向かう。
我が両親は本日は2人で外食してくるらしく今は居ない。恐らく朝帰りコースなのだろうが、まあ、俺としては琥珀と2人きりで留守番は願ったり叶ったりなのでそれは良かったりする。
「琥珀。大丈夫?」
風呂場に着いてから、もちろん俺は扉をいきなり開けることはせずに外から声をかける。と、ガラッと扉が開いて、全裸の琥珀が俺に抱きついてきた。イエス!ラッキーすけぇべぇ!
「うぅぅ……あっくーん……」
カタカタ震える琥珀。お湯で濡れてるのもあってなんか物凄く背徳感があるが……まあ、ここで美味しく頂くようなゲスではないんだよねぇ。
だって、琥珀は本当にかみなりが苦手なんだから。
小さい頃からずっとそうだから、俺はこんなことで琥珀の純潔を奪うことなどしない。だからそっと近くからタオルを取ってから、ゆっくりと琥珀を包んでポンポンと落ち着かせる。
「大丈夫。俺がいるから、怖くないよ」
「うん……ひゃ!」
また光ったことで琥珀が俺に密着してくる。ふ、甘いなラブコメの神よ。俺をエロゲ主人公だとでも思ったか?琥珀が望まない限り無理やり襲うなんて鬼畜シチュ有り得ないのだよ。
だから、この柔らかい琥珀の膨らみとか、柔らかい肌とか、女性の大切な部分とかそういうのが仮に見えても、触れてても我慢する。
「大丈夫、怖くない怖くないから」
「あう……」
琥珀的にまだ怖いのだろう。全裸への羞恥が追いついてないので、とりあえず大切なところは琥珀に任せて後は俺が着替えとタオルで水気を払ったりする。
可愛らしいパジャマに着替えても、まだまだ羞恥が追いつくには時間がかかりそうで抱きついてくる琥珀を宥めつつ髪を乾かす。せっかくの綺麗な髪だしね。
しかし、両親居なくて良かったよ。父さんはともかく、母さんは喜んで写真撮ってから孫の顔をせっつくに決まってる。俺だって早く琥珀と家庭を持ちたいものだが、せっかくだから学生時代は学生時代で楽しまないとね。
琥珀がどんな進路を選ぶにしても必ず側にはいたい。まあ、今のところそこまでガッツリ望む進路は無さそうだけど……俺としては裸エプロンで出迎えてくれる琥珀を所望する。
あ、でも、風邪ひかないように俺が帰る寸前で脱いでくれると有難い。大切な人だしね。
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