第23話 初返信
「琥珀、今いいかな?」
ノックをしてそう声をかけると、すぐにドアが開いて、嬉しそうな琥珀が姿を表した。
「あっくん、メール届いた?」
「うん、だから会いに来た」
「良かったぁ。あ、入って入って」
「じゃあ、お邪魔します」
琥珀の部屋に入ると、昨日色々買ってきたからか、少しづつ琥珀色が出てきた部屋になりつつあった。あと、いい匂いがした。琥珀の匂い。俺の好きな匂いだ。
「あっくん、こっちこっち」
ポンポンとベッドに座ってから手招きする琥珀。……うん、おk。これは誘ってるの意味合いが違うと理解しよう。押し倒してOK的な奴ではなく、俺に心を許してる感じだと。そう思ってベッドに座ると、琥珀は笑みを浮かべて言った。
「えへへ、あっくんあっくん」
「ん?なに?」
「呼んでみただけ〜」
……ふぉおおおおおおおおおおおお!可愛すぎかぁ!!!はにかみながらのこれは狡いっす琥珀さん!
「そっか。じゃあ、俺も……琥珀」
「なあに?」
「呼んでみたかっただけ」
そう言うと「えへへ……」と微笑む琥珀。もうね、一々可愛くて反則過ぎるよね。
「琥珀は明日の準備終わった?」
「うん、でも……」
「でも?」
「あっくんと離れてる時間は少し寂しいかな……なんて、ワガママかな……?」
そんな可愛いことを言う愛しの幼なじみの手を俺はそっと優しく握ってから微笑んで言った。
「そんなことないよ。だって、俺もそう思うから。だから、休み時間は必ず会いに行くから……待っててくれる?」
「うん!」
にしても、ヤバいな……琥珀が可愛すぎて本気でそのうち襲いそうだ。とりあえず、2年生になればクラス替えがあるし、出来ればそこで同じクラスになりたいけど……前の時は2年生も別のクラスだったんだよね。
うちの学校は、2年生の時のみクラス替えがあるから、そこでクラスがほぼ決定する。
クラス替え自体は教職員が決めてるから、とりあえず教師陣に根回ししておく必要はあるだろうね。まあ、それは俺がなんとかすればいい話だ。あ、そういえば……
「琥珀。ちょっと待っててね」
「……?うん」
俺は携帯を取り出すと、さっきの琥珀のメール(保護済み)に返信を送る。少しして、琥珀の携帯が鳴って琥珀は不思議そうに携帯を見てから……少しだけ顔を赤くした。
『愛してる』
初返信が、そんな言葉なのは気取り過ぎかな?でも、本心だからね。言葉でならいつでも言うけど、メールでも言いたい。まあ、昔ならこんなこと言えなかっただろうけど、1度失って俺は目覚めたのかもしれない。琥珀に想いは全て伝える。
そんな風に琥珀とゆったりする時間がたまらなく心地よかった。
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