第11話 寝る前のお願い

「ふぅ……」


ベッドに横になってから、今日の幸せの余韻に浸る。思えば朝から本当に色々あったなぁと思う。過去に戻れて琥珀に告白して、琥珀が彼女になってそして……


「そうだ……今度こそ幸せにするんだ」


絶対にあの悲劇を繰り返してはいけない。今度こそ琥珀を絶対に守ってみせる。家族の件はひとまずカタがついた。後々の課題はあるが……それは俺がやるべきことだ。琥珀には笑って過ごして貰う。


学校に関してはまだ初日。土日挟んでから、どうなるか次第だが、友達候補はいた。琥珀をいじめていた連中とは今のところ接点はなさそうだし、後は後々絡んでこないように先手を打つだけ。


人間関係というのはコントロールが難しいが……琥珀の幸せを邪魔する者を俺は許さない。奴らに関して怒りが完全に消えたわけではないが……今この過去において何もしてないのに危害を加えるのはよろしくない。琥珀の両親も琥珀が成人するまで遠ざければなんとかなる可能性は高い。


「とりあえず明日は琥珀の生活必需品を買い出しに行って……あとは琥珀に俺のインパクトを刻む必要があるかな?」


今でもわりと琥珀からの好感度は高めだけど、出来ればもう少し上げておきたい。俺からの琥珀への好感度はもはやメーター振り切ってて壊れてるレベルなんだけど……長年の想いって怖いね。


トントン。


そんなことを考えているとドアが小さくノックされる。この時間。おそらくそろそろ両親は寝室でイチャイチャし始めている頃だろう。それにこの可愛らしいノック音からして間違いない。


『あっくん……起きてる?』

「琥珀。入ってきていいよ」


特に鍵はかけてないしね。そうして入ってきた琥珀は母さんのダボダボのTシャツを着てゴムのゆるゆるのハーフパンツを履いていたのだが……全体的に足りない感じが可愛すぎた。これ俺の前の体のワイシャツで彼シャツして欲しいなぁ……なんて妄想してから、俺はゆっくりと微笑んで聞いた。


「どうかしたの?」

「あ、あのね……あの……あっくん」


もじもじしながら恥ずかしそうにしている琥珀……あぁ、ヤバい召されそう。服のせいで余計可愛らしくて本当にヤバいな。うん、1回落ち着こうと思っているところに琥珀は可愛らしくポツリと言った。


「い……一緒に寝てもいい……かな……?」


うん、OK。勘違いしないように俺。これは寂しくて一緒に寝たいだけ。今自室で夫婦の営みをしている方の意味ではない。わかってはいても……琥珀さんおねだり上手すぎるよと内心吐血しながら俺はそれに微笑むのだった。







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