第10話 夕飯の時の攻め
「ん……?」
夕飯を食べながら俺は思わず首を傾げる。いつもより味噌汁が美味しく感じる……いや、気のせいじゃないな。俺の琥珀センサーが反応してる。これはつまり……
「今日の味噌汁凄く美味しいね」
「……!」
「あらそう?それね、琥珀ちゃんが頑張ってくれたのよー。ねぇ?」
恥ずかしそうに頷く琥珀。やはりビンゴか。俺の琥珀センサーにかかればこの程度造作ない。しかし、そうか……これから琥珀が母さんの手伝いをするということはこの恩恵に預かれるということ。つまり琥珀の料理スキルの上達とその過程を楽しめるだなんて本当に幸運なのだろうと思う。
「そうなんだね。美味しいよ琥珀」
「えへへ……あっくんにそう言ってもらえて嬉しい」
「そうねー、きっとこれから毎日食べたい的なプロポーズ来るわねー」
「ふぇ!?」
「紗季、それだと暁斗が言えなくなるから」
やんわりと諌めてくれる父さん。まあ、そんな2人はスルーして俺は可愛らしい反応をする琥珀に笑みを浮かべて言った。
「本当に美味しいよ。そんな素敵な彼女を持てて俺は幸せだよ」
「そ、そうかな?」
「うん。頑張ったご褒美にキスでもしようか?」
「ふぇ!?き、キス!?ち、ちゅーはまだ早いよぅ……でも、あっくんとちゅー……えへへ」
俺とのキスに恥ずかしがりつつもそれを妄想して喜ぶ琥珀。うん、予想通り可愛い反応ありがとう。
「仕方ない。じゃあ、今はこれで我慢しようか」
十分に反応を楽しんでから俺は琥珀にコロッケを小さくしてからあーんと食べさせるように箸を向ける。
「はい。あーんして琥珀」
「え、あ、あーん………あ、美味しい……」
「まあ、俺の愛情もプラスしてるからね」
「あっくん………うん、ありがとう」
照れつつそんな風にはお礼を言う琥珀。本当に優しくて可愛い彼女を堪能してから今度は俺が待機することにする。
「じゃあ、琥珀からもして欲しいな」
「え?あ、で、でもお母様もお父様も見てるし……」
「琥珀ちゃん。お義母さんでもいいのよ?」
「紗季。まだ早いってば。あといちいち割り込まない」
「大丈夫だよ。だってこの2人もしょっちゅうやってるからね」
子供の前で色々恥ずかしいことをしてるのでお互い様だろう。その言葉に意を決したように琥珀は震えながらコロッケを俺に食べさせようとしてくる。恥ずかしいのだろうが、そのうち慣れるだろうと思い食べる。
うん、やっぱり琥珀からのあーんだけで何十倍も美味しくなるのだから本当に愛情って凄い。
「うん。美味しいよ。ありがとう琥珀」
「えへへ……あっくんと間接キス……」
あんまり聞こえてなさそうだ。時々自分の世界に入るところも俺的にはポイント高いな。というか、間接キス程度でこれだとキスしたらどうなるのか気になるが……まあ、まだまだ時間はあるし焦らずやろう。
今度こそ琥珀を幸せにしてみせるのだ。そんな感じで夕飯も琥珀は可愛かったです。はい。
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