第8話 引っ越し完了
写真を撮ってから、すぐに俺は琥珀の引っ越し作業を手伝うことにした。とはいえ、予想通りというか琥珀にはあまり私物がなく、本当に少ない服と琥珀のお気に入りの人形くらい持っていくものがないので、すぐに終わった。
「やっぱりベッドは欲しいところかなぁ……」
クローゼットは家のやつを使えばいいが……布団は新しく買い替えたいところだ。他にも生活必需品はあるし、買い物は行かなきゃいけないだろう。幸い明日は休みだし……
「母さん。明日は父さん休み?」
「ええ、そのはずよー」
「そっか。じゃあ、琥珀の買い物行きたいから一緒に説得してくれる?」
「え、そ、そんな……悪いよ……それにお金もないし……」
「大丈夫だから。琥珀は何も心配しなくていいよ」
ぽんぽんと頭を撫でる。まあ、親の脛を齧るだけじゃないのさ。とりあえず中学生じゃ出来るのはせいぜい新聞配達とかのバイト程度だけど、その許可は取りやすい担任なので大丈夫だろう。それでとりあえず琥珀のお小遣い程度なら稼げる。
あとは親に借金として後々返済していくようにするが……まあ、そんな心配しなくても割と裕福な家庭なので大丈夫だろう。母さんは言わなくても大丈夫だが、とりあえず父さんには今夜話してある程度納得して貰うことにする。
というか、俺が生まれる前に母さんが宝くじで1億当てたらしいんだけど……子供のために使うって2人で決めてほとんど手をつけてないそうなので、おそらく大丈夫だ。
「とりあえず今夜は俺と一緒に寝る?」
「ふぇ!?い、いきなり………?」
「母さんとでもいいけど………」
「あら、夜はダメよー。大人の時間だから」
うふふと笑う母さん。なんの事だか分かってない純粋な琥珀には刺激が強いからその手の話はもう少し先でね。
「ま、というわけで、布団が俺しか余ってないんだ」
「で、でも、あの……寝顔みられるの恥ずかしいよぅ……」
え、そんなことで……って、まあ女の子だもんね。全く可愛い琥珀め。
「俺も寝顔見られるからイーブンかな?」
「むむむ、あっくんの寝顔見れるのは楽しみだけど……」
「じゃあ、頑張って俺より早起きしてみるとか?」
「あ、そうだね。それならいいか」
えへへと笑う琥珀。チョロ可愛いぞ琥珀!いや、本当にマジで。
「琥珀ちゃん。夕飯の準備、後で手伝ってねぇー」
「あ、はーい!」
ちっ、琥珀を取られるが……まあ、父さんとの話をする時間を考えると仕方ない。そこだけは譲るか。その代わり今は俺が琥珀を存分に堪能しよう。
「琥珀。まだ時間あるしゲームでもしようか。ポーカー好きだったよね?」
「うん、する〜!」
デジタルなゲームでもいいが、折角だしアナログゲームで琥珀の可愛い顔を眺めるとしよう。まあ、琥珀はポーカー好きだけど、嘘つくの苦手だからすぐにわかるんだよね。ただ、自分に対してはどこまでも嘘つきになれるみたいだから、油断はしない。
琥珀の全部を俺は掌握したいのだ。
「あ、琥珀が負けたら風呂上がりに髪の毛乾かすのやらせてね」
「はぅ……!うぅ……それは負けられないけど、あっくんにやって貰いたいような気もするし……はぅぅ………」
本当に可愛すぎる我が天使琥珀様であります。
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