第7話 記念撮影
「あ、琥珀ちゃんおかえり〜!」
ぎゅーっと真っ先に琥珀を抱きしめる我が母。まあ、可愛い琥珀を真っ先に抱きしめたい気持ちはわかるが、俺の独占欲的にはかなりギリギリのラインだ。琥珀が嬉しそうにしてるのはいいのだが、それでも俺は少しの時間でも琥珀を取られるのが我慢できないみたいだ。
「というか、なんで外で待ってたのさ」
「うん?ああ、そうそう。折角だし、2人の付き合った記念とあと入学祝いに写真撮りましょう♪」
そういえば、前の時も入学祝いとか言って撮ってたな。あの時は1人だったからそんなの意味ないと思ってたけど……琥珀とのツーショット写真は欲しい。
「わ、私もいいんですか?」
「何言ってるのよ!琥珀ちゃんはうちの可愛い嫁なんだから当然じゃない!」
「ふぇ!?お、お嫁さん……」
「母さん。嬉しいけど琥珀が照れてるから」
まあ、確かに琥珀を嫁にするのはある意味確定してるけど……俺だって琥珀が心変わりしたりしたら、頑張って諦める努力はするはずだ。それで琥珀が幸せになれるならね。不確定なら絶対逃がさないけど。
そんな風に思って母親を抑えていると、琥珀がちょんちょんと可愛らしくつついてきて聞いてきた。
「わ、私……あっくんのお嫁さんにして貰えるの……?」
「え、もちろんだよ。むしろ俺が琥珀の婿になりたいんだけど……ダメかな?」
「だ、ダメじゃないよ!すっごく嬉しい」
そう言ってから、「えへへ、あっくんのお嫁さん……」と嬉しそうに呟く琥珀は本当に可愛すぎるよもう。
「あらあら、早速仲睦まじいわねぇ。でも、暁斗。私にも琥珀ちゃん貸してよね」
「母さんには父さんいるでしょ」
「お父さんは別腹です!」
「なんだよそれ」
父さんが可哀想になるが、夫婦円満のようだし黙っていよう。むしろ未だに寝室からその手の声が聞こえてくるから琥珀が感化されないかだけは少し心配だけど……まあ、その時はその時だな。
「さあさあ、2人ともくっ付いてねー。撮るわよー」
そう言われて2人でくっ付くが……足りないようで首を横に振る監督の母。普通に手を繋ぐだけではダメなら仕方ないと思い俺は琥珀を抱き寄せることにした。
「わぷ……あ、あっくん……!?」
「ごめん。嫌だった?」
「い、嫌じゃないけど……はぅ……」
真っ赤になって黙る琥珀。琥珀の心臓の鼓動が聞こえてくる。結構早い。めっちゃ緊張してるんだな。まあ、俺もこんな風に冷静にはしてるけど、琥珀の体温と琥珀の匂いでだいぶえらいことになってる。
「はい。ちーず!」
かしゃりとシャッターがきられる。撮り終わっても離したくなくて琥珀を抱きしめてると、母さんはデジカメのさっき撮ったやつを見せてきて言った。
「うふふ、本当にラブラブね。孫の顔も早そうで何よりだわ♪」
ぷしゅーっと、琥珀から煙が出るのがわかった。うん、中学生に孫の顔って確かに早いわな。でも、少なくともあと8年したら琥珀は親の了承なく結婚出来るようになるんだよなぁ。向こうの両親脅してサインさせることも出来なくはないが、まあ、それは琥珀の気持ち次第で考えよう。
それはそうと、琥珀が可愛すぎて本当に今すぐファーストキスを奪いたいんだけどどうしよう?
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