第6話 初めての下校

「えへへ、あっくんと一緒に帰るの久しぶりだね」


嬉しそうに手を繋ぎながら帰り道を歩く琥珀。本当に可愛い彼女に俺は魅了されながらも微笑んで言った。


「これからは毎日一緒に帰ろうか」

「うん!あ、でも、あっくん部活はいいの?」

「琥珀はどうするの?」

「私は……多分出来ないから」


残念そうにそんなことを言う彼女に俺は笑って言った。


「大丈夫だよ。琥珀は難しいことは何も考えなくていい。ただやりたいのがあったら言ってよ。ちゃんと協力するし、俺も一緒に入るから」

「え、でも……あっくんもしたい部活あるでしょ?私に合わせなくても……」

「俺はね、琥珀と一緒にいられればそれでいいんだ」


そう言うと照れくさそうに視線を逸らしてから頷く琥珀。まあ、確かに琥珀の家庭事情的には部活なんてやる余裕はないだろうが、そこを何とかするのが俺の役目だ。方法なんていくらでもある。琥珀が求めるならそれを叶えるのは俺の仕事だ。


まあ、琥珀は無欲なところがあるからあまり口にはしないだろうが……それを汲み取ることも俺はしたいのだ。


それに、部活をしてた前の3年間と琥珀との3年間……どちらが大切かなんて言わなくてもわかるだろう。


「ねぇ、琥珀」

「うん?なあに?」

「いや、呼んでみたかっただけだよ」

「……えへへ」


嬉しそうに微笑む琥珀。うむ、めっちゃ可愛い。なんだろう……やっぱり琥珀の笑顔を見てるとホッとする。多分俺が前の時に最後に見た琥珀の苦しそうな笑顔が印象深いせいだろうか?


「琥珀、多分部屋は俺の隣になるけど大丈夫?」

「うん、あっくんの隣は嬉しいよ」

「眠れなかったらいつでも一緒に寝るからね」

「うぅ……そんなに子供じゃないもん。でも、あっくんとは一緒に寝たい……」


むむむ、と悩む琥珀。なんだこの可愛い生き物は。


「大人だって一緒に寝るから大丈夫だよ。それに俺たちは恋人同士だしね」

「そっか、私あっくんの彼女なんだよね」


多分琥珀にケモ耳とか尻尾がついてたら、嬉しそうに揺れているのが想像できた。


「ああ、なんならお風呂も一緒でもいいよ?」

「ふぇ!?お、お風呂も!?そ、それは、そのまだ早いと言うか、あの、えっと……」


真っ赤になってもじもじする琥珀。初心で可愛すぎるなぁ。こんな可愛い琥珀をこれから先独り占め出来るとか俺は本当にラッキーだ。まあ、それに……やっぱりこんなに可愛い琥珀には今度こそ幸せになって貰いたいしね。


そう思ってそっと頭を撫でると琥珀は驚いてから照れながら微笑んで言った。


「えへへ……あっくんに撫でられるのすきー」

「琥珀は可愛いからついね」

「か、かわ……」


ぼふんっと湯気が出そうなくらいに顔を真っ赤にする琥珀。あぁ、もう本当にどこまで俺を虜にすれば気が済むんだ。もう俺は琥珀に十分ぞっこんなのに、これ以上惚れさせられて本当にどうするんだ。俺が琥珀を惚れさせなきゃいけないのに、接してると俺の方が琥珀のことを好きになっていく。


うん、本当に琥珀は可愛いなぁと思いながら家まで2人で楽しむのだった。


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