第3話 ダンジョンの知識
「知ってるとは思うが、基礎知識からおさらいするぞ」
「はい!お願いします!」
ダンジョンにはゲートを通ることで入場することが出来る。ゲートを囲うようにダンジョン管理施設『ギルド』が建てられ、そこが冒険者の集いの場となる。
俺たちはゲートに向かいながらギルドの中を歩いていく。
「ダンジョンには6種の難易度がある。言えるか?」
「簡単な方から順にE、D、C、B、A…あれ、もう1つありましたっけ?」
「その5つはあってるな。もうひとつは最高難易度のSだ。今のところ攻略不可能だと判断されたダンジョンにつけられる」
南極やアメリカ、イギリス辺りに有名なSランクダンジョンがある。
日本では友ヶ島ダンジョンがSランクと判断された。
「ほえぇ、そんなのあったんですね」
みのりが目をパチクリさせながらそう呟く。
まあ、Sランクダンジョンはあまり話題に出ないから知らなくても問題ない。
ダンジョンについては難易度さえ知っておけば大丈夫だろう。たまに崩壊したりすることはあるが、崩壊する前にギルドが入場制限をするため冒険者が巻き込まれることはほぼ無い。また、攻略の仕方は資格取得の際に学んでいるはずだ。
「あぁ。次はスキルとスロットについてだが…」
「あ、それは大丈夫です!本で勉強しました!」
どこかドヤ顔しながらみのりが出したのは、『猿でもわかる!スキルとスロット!』と書かれた本だ。
タイトル通り、とても丁寧かつわかりやすく説明されていて評価の高い本だ。
「そうか、なら大丈夫だな」
「はい!ちなみに私はスキルが4つ、スロットが5つです!!」
「…まじか」
スキルは冒険者にとってとても重要なものであり、スキルの数が強さを表すと言っても過言ではない。
もちろん、1つを極めれば強くなれるし、複数あっても使いこなせて居なければ意味が無い。
だが、単純に使える手が多いというのはそれだけで力となるのだ。
だが俺が驚いたのはスキルよりもスロットの数である。
スキルは後天的にも取得可能であるがスロットはそうではない。スロットが1つであれば生涯でたった一つのスキルしか使えないのだ。
つまり、スロットが上限である5個のみのりは冒険者において天才と言って差し支えない。
「おま、有名クランから勧誘とか来なかったのか?」
「んー、クラン?っていうのがよく分からなくて…」
「あー、なるほどな」
ピンクのリュックをよいしょと背負いなおしながら、こちらを見つめるみのり。
クランというのはギルドや国が動かしているものでは無い。よって資格取得の際なども特に学ばないものだ。
クランという単語は知っていても、具体的にどんなものなのかを知らない人が多い。
「クランって言うのは簡単に言えばパーティーの上位互換だ」
「上位互換?」
「そうだ。情報交換やアイテムの支給とか、同じ目的のために力を合わせるんだ。クランによっては専属の鍛冶師とかアドバイザーが居たりもする」
「すごいですね!いい事尽くしじゃないですか!」
そう、メリットとデメリットで言えばメリットの方が大きい。
「ああ、だがデメリットが無い訳でもない」
「うーん、人間関係とかですか?」
人間関係、その単語に頭を搔く。
「まあ、それもあるな。俺はそれが理由でクランに所属してない」
「へぇ…。え、コミュ障ですk…イタっ」
失礼なことを言い出すみのりの頭に軽くチョップをする。
べ、別にそれだけが原因じゃないしっ。
「所属してるだけで払わなければいけないお金、所持スキルやスロット数などの情報開示、討伐ノルマや最低活動回数が決まっているとか、まあ意外とデメリットもあるんだ」
「うへぇ、たしかにめんどくさいですね」
だが実際は冒険者の5割がクランに所属している。
残りの3割もパーティーで活動。また他の1割強が野良と言われる臨時パーティーを都度都度組んで活動する人達だ。
俺はそのどこにも属さない。0.5割。完全なソロだ。
わーい、やったぜマイノリティー。
「星夜先輩、目が死んでますよ」
「ほっとけ」
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