第4話 ダンジョン突入!
「ま、クランにも善し悪しはあるから入る時は気をつけて入れよ?」
「分かりました〜」
気の抜けた返事をするみのり。
この子は冒険者として大丈夫なのだろうか。
「戦闘での立ち回りとかは後で教えるとして、他に聞きたいことはあるか?」
「ん〜。あ、先輩の冒険者ランクが知りたいです!」
元気よく「ビシッ!」という効果音がつきそうな勢いで挙手するみのり。
冒険者ランクとは文字通りで、冒険者の実力を表すランクだ。
Eランクから始まりAランクがある。
ダンジョンと同じで例外的にSランクというものがあり、たった1人でBランクダンジョンを攻略出来るほどの強さを持つ冒険者に与えられる。
AランクダンジョンはAランクの冒険者が48人のレイドを組み、犠牲を出しつつも攻略することが可能と言われている。
そんなAランクダンジョンもSランク冒険者であれば6人パーティーで犠牲を出さずに攻略できるのだ。
割合的にはEランクが10%、Dランクが40%、Cランクが40%、Bランクが8%、Aランクが1.5%だ。
Aランクもそうだが、Sランク冒険者は0.5%と極端に少なく、一般人からの注目度も高い。
EランクからDランクはひと月あれば誰でも上がれる。DランクからCランクもやる気があれば上がれる。ただBランクからはそうはいかない。実力が無ければ上がれないのだ。
「私はこの間Dランクになりました!!」
「お〜、おめでとう。ふっふっふ…あまり驚くなよ? 俺はなんとBランクだ」
スマホを取り出して冒険者アプリを開く。そこに記載されたプロフィール欄には【Bランク】の文字が記載されていた。
何を隠そう、俺は上位10%に入る実力者なのだ。
「はぇ!? 第1世代冒険者並じゃないですか!」
「はっはっは。すごかろうすごかろう」
「純粋にびっくりです…」
ここまで驚かれると少し照れるな。
みのりからの素直な賞賛を受け取りつつ、ようやくたどり着いたゲートを見据える。
ここからは気を引き締めなければいけない。
如何にここがDランクダンジョンで俺がBランク冒険者でも油断は禁物だ。
「よし、準備は出来てるか?」
「えーと、はい、大丈夫です!」
短剣や防具、持ち物を確認してから軽く深呼吸をする。
「じゃあ行くぞ」
「はい!」
俺とみのりはゲートをくぐり、ダンジョンへと降り立った。
◇
ダンジョンの中はよくある石造りの迷路のような構造だった。
ダンジョンによって中身は違っており、階層ごとに景色が異なることもある。
とても巨大な滝が見れたり、綺麗な森と湖を見れたりすることで観光地化するダンジョンもあるようだ。
「私、この空気にあんまり慣れません」
「そうだな。けど、慣れて緊張感が無くなるよりはマシじゃないか?」
「それもそうですね」
ダンジョンの中は溶けた鉛のような、そんな重たい空気が満ちていた。
外に比べて呼吸がしづらいような圧迫感を感じる。
「ここの一階層はゴブリンが単独で動いてる」
「そうらしいですね。でも、群れをなさないゴブリンなんて私の敵じゃありませんよっ」
みのりが胸を張ってポンっと叩く。
たしかに単独のゴブリンは弱い。ゴブリンというのは基本、群れることで驚異になるのだ。
それぞれが役割を持ち、連携を取るためだ。単独のゴブリンが弱いため、調子に乗った新人冒険者が痛い目を見ることがよくある。
みのりは群れをなしたゴブリンの驚異をきちんと把握しているようだ。
そうこうしているうちに曲がり角の奥から「ギィギィ」という鳴き声が聞こえてきた。これがゴブリンの声だ。
「よし、まずはみのりの力を見せてもらうぞ」
「ふぉっ、いきなりですね! そういうの好きです!任せてください!」
声のボリュームを抑えつつ元気に返事をされた。
緊張は特にしていないようだ。
「私のスキルは《瞬足》《飛撃》《索敵》《隠密》の4つで、スロットが1余りです!」
「おいおい、スキルまで優秀だな」
「はいっ!では、行きます!」
短剣を鞘から抜いたみのりは腰を落として奇襲の準備を始めた。
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