第229話 再会

「……着いたな」


 そして、ついに、横山の家に辿り着いてしまった。しかし……いつ来ても大きな家である。


 俺たち二人はその大きな家の大きな門の前で立ち尽くしてしまう。入ってしまっていいのだろうか……。


 と、俺が悩んでいると、いつのまにか、前野がインターホンを押してしまった。


「……お前、迷いがないな」


「え? 何が?」


 前野は特に気にしていないようだった。


「……はい?」


 と、程なくして少し沈んだ感じの女の子の声……横山の声だった。


「……あ。俺だけど……」


「あ……後田君!?」


 一転して嬉しそうな声の横山。こんな反応だと来た甲斐があったというものである。


「今、そっちに行くから!」


 と、インターホンが切れる。そっちに行くって……こっちに来るってことか?


 そうなると、俺が前野を連れてきたことがすぐさまその場で露見してしまうことになるが――


「あ」


 と、俺がそんなことを考えていた矢先だった。


 ものすごい速さで横山が門の近くまで来ていた。ジャージ姿だったのには驚いたが。


「久しぶり、愛留ちゃん」


 そう言って前野は笑顔を向ける。横山は恥ずかしそうにしながら小さく頭を下げた。


 とにもかくにも、こうして俺たちは再会することができたのだった。

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