第229話 再会
「……着いたな」
そして、ついに、横山の家に辿り着いてしまった。しかし……いつ来ても大きな家である。
俺たち二人はその大きな家の大きな門の前で立ち尽くしてしまう。入ってしまっていいのだろうか……。
と、俺が悩んでいると、いつのまにか、前野がインターホンを押してしまった。
「……お前、迷いがないな」
「え? 何が?」
前野は特に気にしていないようだった。
「……はい?」
と、程なくして少し沈んだ感じの女の子の声……横山の声だった。
「……あ。俺だけど……」
「あ……後田君!?」
一転して嬉しそうな声の横山。こんな反応だと来た甲斐があったというものである。
「今、そっちに行くから!」
と、インターホンが切れる。そっちに行くって……こっちに来るってことか?
そうなると、俺が前野を連れてきたことがすぐさまその場で露見してしまうことになるが――
「あ」
と、俺がそんなことを考えていた矢先だった。
ものすごい速さで横山が門の近くまで来ていた。ジャージ姿だったのには驚いたが。
「久しぶり、愛留ちゃん」
そう言って前野は笑顔を向ける。横山は恥ずかしそうにしながら小さく頭を下げた。
とにもかくにも、こうして俺たちは再会することができたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます