第149話 謝罪
「えっと……適当に頼んでいいかな?」
俺は小さく頷いた。横山はウェイトレスを呼び、適当な注文をしていた。
それにしても……一体何の話だろうか。そもそも、なぜ横山は髪を切っているんだ?
女の子が髪を切った時というのは……色々と心情の変化が理由である、というのは、俺もなんとなく知っている。
だけど、横山の場合はどうなんだろうか? 一体どういう心情の変化があったのだろうか?
「……最初に、言っていいかな?」
「……え? 何を?」
俺がそう言うと横山はいきなり頭を下げてきた。
「ホントに、ごめん!」
横山は勢いよく謝った。周りの客に見られて俺は少し焦る。
「……い、いいから……謝らなくて」
「え……でも……」
「……俺、怒ってないから。ね?」
俺がそう言うと横山は嬉しそうに微笑んだ。
その笑顔で見て俺は……本当はなぜあんなことで怒っていたのか……正直、もうどうでも良くなってしまったのであった。
「そっか……ホッとしたよ~」
そう言って、安堵の表情を浮かべる横山。そんなに俺が怒っていると思われていたのだろうか……。
「あの後さ~、真奈美にも電話しちゃってさ~……そしたら、真奈美が、後田君に電話した方がいいって言ってくれたからさ、こうして、電話したんだよね~」
「……え? 横山……前野のこと……真奈美って呼んでいるの?」
俺は意外な部分で驚いてしまった。
「ん? そうだけど、ダメ?」
横山は意外そうな顔でそう聞いてきた。俺は首を横にふる。
……というか、横山に電話しろって言ったのは……前野か。アイツ、やっぱりどうにも抜け目ないヤツなのだな……。
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