第150話 告白

「……えっと、それで?」


 横山の謝罪が終わった後、俺は今一度横山に訊ねてみた。


「え? それで、って?」


「……いや、その……謝罪だったら、わざわざ俺を呼び出さなくても良かったんじゃないかな、って……電話でも良かったし……」


 俺がそう言うと横山は意外そうな顔をする。そして、その後なぜか恥ずかしそうに苦笑いをした。


「あはは……まぁ、そうだよね……」


「……で、他に何か話したいこと、あるのか?」


 俺がそう言うと横山は少し考え込んだあとで、意を決したように俺のことを見る。


「その……断っちゃったんだよね」


「……断った? 何を?」


「告白」


「……告白? え……な、何? どういうこと?」


 自分の中で何か……なんだかわからないが、何かが大きくなるのがわかる。


 それは不安であり、心配であるのだが、俺にはそれをどうすればいいのかわからなかった。


「真治から告白されたんだ。付き合おうって。でも……断ったんだよね」


 横山はそう言って悪戯っぽく微笑んだ。俺はしばらくの間、横山が言ったことを理解できなかった。


 告白……あぁ、そうか。中原が横山に告白したのか。そりゃあ、中原と横山は幼馴染だって聞いてたし、中原が告白するのはわかる。


 でも……それを横山は断った。


 俺は、ゆっくりと近くにあったコップに手を伸ばし、そのまま水を口に含む。そして、それを飲み込んだ。


「……そう、なんだ」


「うん。そうなんだよね」


 そう言って俺に微笑みかける横山からは何か……正体のわからない圧力を感じるのであった。

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