第106話 疲れ

「……疲れた」


 家に帰ったとき、俺はそのままベッドに倒れ込んだ。


 今日は色々なことがありすぎた……まぁ、主に前野のことが原因だとは思うが。


 それにしても結局、端井は一体なんだったのだろうか。俺を罵倒するだけでしてそのまま去っていってしまったわけだし……。


「……今は何も考えたくないな。さっさと寝よう」


 そう思って俺は風呂に入る支度をしようと立ち上がった。その時だった。


 ピコンと音が聞こえてきた。俺のスマホからだった。


「……まぁ、なんとなく予想は着くが」


 見ると……前野からだった。


 実は、今日の勉強会の最中に、前野にスマホのアドレスを聞かれたのだ。最初は教えたくなかったのだが、前野の勢いにおされてしまい、結局教えてしまったのだ。


「……『今日はお疲れ様。テスト終わったらどこか行こうね』……どこかって、どこだ」


 俺はそう思いながら、適当に『わかった』とだけ返事をする。


 すると、またしてもスマホに着信音がした。即座に返事が来たようである。


「……『約束だよ』って……怖いな、やっぱアイツ」


 俺はそう思って、スマホをベッドに投げてそのまま部屋を出た。


 その時のやり取りが考えてみれば、あまりにも軽はずみな行動だったことは後で思い知ることになるのであったが……。

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