第49話 違う世界
そして、放課後。
その日は結局、最後まで特に変なことはなかった。端井のことは気になるが……まぁ、何もしてこないのならば、放っておくしか無いだろう。
「じゃあ、後田君。またね」
「……あぁ。じゃあな」
と、前野は俺に挨拶をする。が、なぜかジッと俺のことを見たままで動かなかった。
「……何だ? どうかしたか?」
「ううん。別になんでもない」
なぜか少し怒ったような感じで前野は俺のことを見たあとで、教室を出ていってしまった。
なんだ? 何か気に障ることでもしただろうか?
俺は疑問に思いながら、そのまま教室を出る。ふと、横目で、陽キャグループと話している横山のことを見る。
横山はグループの会話に笑顔を浮かべながら話している。こうしてみると、やはり横山と俺とは住む世界が違うのだなぁ、と実感する。
と、一瞬だけ横山がこちらを見た。俺の方に向かってグループのメンバーにバレないように小さく手を振っていた。
そういえば、横山はいつも俺とは隠れるようにして会っている。休み時間に、廊下とかで……まぁ、俺もそのことには薄々気付いているのだが。
「……まぁ、横山としても俺みたいな奴と関わっているって思われたくないよな」
なぜか、急に自分が酷く惨めな存在に思えてしまった。俺はそんな考えを振り払いながら、学校を出たのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます