第41話 端っこ

 次の日。俺は教室を見回していた。


 昨日会った女子生徒……間違いなく、クラスメイトだと言っていた。つまり、ヤツはこの教室のどこかにいるということなのだ。


「ちょっと、後田君」


 と、前野の声で俺は我に返る。


「……なんだ?」


「何キョロキョロしているの? 誰か探しているの?」


 探している……まぁ、その通りだ。


 そういえば、なぜかヤツは前野のことを知っていたな。つまり……今こうして俺と前野が会話しているのも見ている可能性が高い。


 俺は今一度周囲を見回す。と、ふと、俺は教室の端に目を留める。


 その位置は、俺と前野の席と教室の位置としては正反対……教室の端だ。


 そこに……いたのだ。昨日、俺が会った少女が。


「後田君?」


「……あ、あぁ……すまん……なぁ、前野。その……あそこにいるアイツは……誰だっけ?」


 と、俺は前野にだけわかるように、教室の端に座っている少女を指差す。


「え? 端井さんのこと?」


「……端井、って……前野は知っているのか?」


「席替えの前は隣の席だったからよく話してたよ。端井さん、席替えしてもいつも教室の端っこなんだって。なんだか、後田君みたい」


 何が面白いのか前野は笑っている。俺は思わず少女……ではなく、端井のことを見てしまう。


 端井は……明らかに敵意の視線を俺に向けていた。理由はわからなかったが……強い敵意の視線を。


「端井さんに何か用があるの?」


「……いや、なんでもない」


「ふーん。そういえば、今週の日曜日のこと、覚えているよね?」


「……あ、あぁ。覚えているさ」


 前野がその話をした途端、一層敵意の視線を強く感じる。なんだ? 端井は一体何に怒っているというのだろうか?

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