第39話 結果
「よかったぁ~! 赤点回避成功~!」
そして、それからしばらくしてから、テストの結果が返ってきた。横山は嬉しそうに俺に結果を報告してくる。
「……良かったな。教えた甲斐があった」
「いや~、ホント、後田君にはなんてお礼を言ったら良いか……ねぇねぇ、今日って暇だったりする?」
急にこちらに身を乗り出して来て、俺にそう聞いてくる横山。
「……暇ってわけではないな」
「え~? でも別に後田君、部活とか入ってないでしょ? だから……お礼っていうかさ。だから、今日は――」
「愛留~!」
と、教室の別方向から声が聞こえてきた。どうやら、いつも横山がつるんでいる陽キャグループのようである。
「え……あ! うん! 今行く!」
横山は気まずそうに俺のことを見ている。俺は無言で首を横にふる。
「ご、ごめん……また、今度ね!」
そう言って、横山は陽キャの方へ行ってしまった。わかってはいたが……なんとも、情けないやら、悲しいような話である。
「だから、私、あの人、苦手」
と、いきなり前野の声が聞こえてきた。前野は冷たい視線で陽キャグループと話している横山の事を見ている。
「自分がなくて、誰かに合わせることしかしない……だから、苦手」
「……お前はもう少し誰かに合わせたほうがいいんじゃないか?」
俺がそう言うと前野は不機嫌そうな顔のままで俺を見る。
「私が言ったこと、覚えてる?」
「……言ったこと、ってお礼のことか?」
「そう。私はあの人と違ってちゃんとお礼するから」
そう言って、前野は俺にテスト用紙を見せてくる。なんと、前野のテストは……100点だった。
「今度の日曜日、ね」
そう言い放って、前野は教室を出ていった。今度の日曜日……何があるというのだろうか。
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