第20話 ズルい
「やっぱり付き合ってんじゃん!」
……まさかとは思ったが、またしても横山に絡まれてしまった。
しかも、横山は教室をすぐ出た場所で待ち伏せしていたのである。
「……違う。お前も聞いていただろう? アイツが俺に好きな人がいるかどうか聞いてきただけだ」
「だって! それって、確認でしょ?」
「……確認?」
俺が困惑していると憤然とした様子で横山は俺を見る。
「だから! 私達付き合っているのよね、っていう……」
「……あのなぁ。お前が俺と前野に何を期待しているのか知らないけど、とにかく、そういうのじゃないって」
それでも疑いの視線を向ける横山。まったく……なんでコイツは俺と前野が付き合っているかどうかを知りたがるんだ。
「……というか、なんでお前はそこまで俺と前野に関心を持つんだ」
俺が思ったことを口にすると、横山はギョッとして俺を見る。
「そ、それは……」
「……別にいいだろう? 教室の隅っこにいる陰キャ二人のことなんて気にしないで、自分が所属する陽キャのグループで楽しめば」
俺が語気強めにそう言うと、横山はなぜか涙目になって俺を睨む。え……俺、何か変なこと言っちゃっただろうか?
「……ズルい」
「……は? なんだって?」
「……ズルいじゃん! アンタと前野さんだけ盛り上がって! ウチだってアンタの隣の席なのに! ズルい!」
怒りながらそう言うと、横山はそのまま走っていってしまった。
「……ズルい?」
よくわからない言葉を今一度反芻しながら、俺は走っていく横山の後ろ姿を見送ったのだった。
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