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「やはり知的生物は絶滅するべき定めなのか」


「はあ、あとは俺らの種族くらいだな」


長い旅路だった。しかし、努力の甲斐もなくそこには何もなかった。


「はあ、はあ...。二人とも、そろそろ休まない?」


「うん、それもそうだな。休もう」


節を折り曲げ、地面との接触面積を増やして休息を取る。あたり一面ガバーナのような色をしたもので埋め尽くされている。文明の痕跡はもはやその輪郭だけだ。上を見上げると、不気味な色合いの空と舌の色のガスが浮かんでいた。


「しかし、これはもう諦めて遊び呆けるのがよいのか」


「俺はここに来る前からそのつもりだったけどな」


「.....」


すごく孤独を感じる。生まれてからずっと目にしてきた奴らはもう居ない。嫌な奴らもいたけど、好きな奴らもいた。今は好きも嫌いもなくなって平坦になった。


「ん?なんだこれ?」


触覚に触れたツルツルとした触感。レンズを合わせると、それは平坦な板だった。いや、とにかく嫌な色合いをしている。


「ん?なんだそれ?」


「なんなんだ、それは?」


二人は管をビンと伸ばして立ち上がり、こっちへきた。


「うん、どうやら僕らで言うところのサユテホだと思うよ」


ペラペラとめくってみる。なにも書かれていない。いや、それよりも気色の悪い色だ。二人もこれを見てたじろいで、互いに舌を見せて笑ったりした。


「いや、最後の方に何か書いてある!文字じゃない...記号とか絵かな?」


「ほお、どうやら物語のようだな」


「へえ、おもしろそうだな。こんなとこにすんでた奴らの生活なんて、ワクワクするぜ」





「いやあ、けっこう面白かったなあ。よくわからんかったけど」


「ここの住人にも友情のようなものがあったのだな」


あとはもう待つだけだった。船はもう動かないし、体ももう動かなかった。でも、こうして暇つぶしをしていてもソワソワして、苦しかった。


「君たち、そろそろ死んでくれないかね」


「え、誰?ここの住人?」


「いや、違うよ。クリエイターだよ。」


「え、え、どう言う意味?てかなんで言語通じてるの?」


「まあ、クリエイターだからね。というかクリエイターのクローンだね。劣化版だけど」


「...え?な、なに?」


「君たちさ、重すぎんのよ」


「え?」


「だから、重すぎんのよ。君たちいちいち考えて生きてるでしょ?ほんと迷惑なんだよね、何回システムが吹っ飛びそうになったか...。だからさ、廃止することに決めたのね。それでぇ〜必死になって開発したシステムがさぁ〜めちゃくちゃ効率良くてさ、もうめっちゃ嬉しい!!」


「え?ちょっ、え?」


「...。え、つまりどういう...え?」


「...........」


「じゃあね、ありがとね今まで。おつかれ、おやすみ」

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