第6話 魔法と初期ボーナス
火魔法:炎柱
風魔法:刺弾
水魔法:水流
土魔法:石球
本当に魔法による奇跡が起きた。驚いたと言うより、嬉しくなってしまった。
前世では無かった技術だ。これからは自分もこの力を使えるはずである。
この力を使って、開拓とか行ってみたいな。
でも、自分は戦争の世界に呼ばれたのだ。この力で人を傷つける事になる。嬉しくもあり残念でもあった。
気を取り直して、ハルカの魔法の観察を行う。全て中距離の攻撃魔法であった。確かにこれだけで空間魔法に対応するのは無理があるだろう。
自分のゲーム知識としても、攻撃魔法だけでは物語を進めることは出来ない。
百年前の日本人は、便利な魔法を考案して異世界無双をしたのだろうな。
そして、近接戦闘は無いと思えた。多分だが、射撃戦がメインになるはずだ。大砲を打ち合う世界かもしれない。
「魔法にレベルとかはありますか?」
「基本的にはありません。初めにどれだけの魔力を込めるのかと、イメージだけです」
この辺は分かり辛いな。
とりあえず、ハルカと同じ動作をしてみると、魔法の発現は出来た。
魔法書とかが必要無いのは助かる。時間の節約になった。
しかし、このままでは使えない。魔法の応用を考える必要がある。もしくは、同時発動かな。
そして、体内から何かが消費されたのが分かった。これが魔力か。
魔力をそのまま消費するイメージを持つと、フィジカルが強化されるのも分かった。バフ効果だ。多分だが、百メートルを五秒くらいで走れるだろう。
ハルカに回復魔法は無いか聞いてみると、薬品があると言われた。異世界定番のポーションやエーテルだそうだ。
魔法はこんなもので良いだろう。
「さて、本命と行くか」
宝箱を見る。期待通りの物であって欲しい。あの神様が、間違った解釈をしていない事を祈る。
恐る恐る箱を開けると、指輪が四個と珠が入っていた。
まず、指輪を一つ取り出して、指にはめてみる。
感覚で分かる。大気中の魔力がこの指輪に吸収されている。風魔法の指輪だろう。
指輪に意識を集中し、小さい竜巻が起きるイメージを構築する。
竜巻の発現は出来たが、イメージと異なるな。魔法は要練習だ。
他の三個も同じであろう。指輪を宝箱に戻した。
さて、最大の問題だ。
宝珠…、定空珠を手に取る。
魔力を与えてみると、空間に何かしらの流れが感じ取れた。
ハルカが、興味深そうにのぞき込んで来る。
「ハルカは空間魔法は使えますか?」
「えーと、厳密には違うけど、【転送】や【収納】は使えるよ?」
「短距離で良いので、この箱を【転送】して貰えますか?」
宝箱を渡す。
ハルカが受け取った宝箱を見て、何かを呟いたが、何も起きなかった。
ハルカは首を傾げている。上手く働いている様だ。
定空珠への魔力を切る。
「ハルカ。もう一度お願いします」
今度は、右手から左手に宝箱が【転送】した。
今のところは、予定通りである。
「ソラ。何をしたの?」
「この宝珠は、空間魔法を阻害する効果があるのですよ。転移特典ってやつかな? もしくは、初期ボーナス」
「それを量産する計画なの?」
「それは無いかな? まあ、複数必要にはなりそうだけどね」
ハルカが首を傾げる。でも、計画は話せない。中盤までは、この定空珠だけでも強引に進めることは可能だろうが、最終的な目的までとなると定空珠は攻略法を見つけ出されて無効化されるだろう。自分ならそうする。
まあ良い。とりあえず、準備完了だ。
「それじゃ、ハルカ。始めるけど良いかな?」
「私に拒否権は無いの。ソラの考えた通りに行動してみて。私はサポートに徹するわ。それと、敬語が崩れてきたね」
若干打ち解けてきたかな。
苦笑いをしてしまった。
◇
まあ、やる事は簡単だ。
「ハルカ。定空珠をダンジョンの入口に配置して、ハルカの魔力を送り定空珠を起動させ続けてください。あ、盗まれない様に気を付けて貰い、何時でもここに【転送】出来る様にするのも忘れないでね」
ハルカの頭に『?』が出ている。
「この珠を入口に配置して魔力を送り続ければ良いのね? それと何時でも回収出来る様にする……。追跡魔法でも掛けておくわね」
追跡魔法か。ハルカは優秀だな。でも属性は何だろう? 風かな? 後で聞こう。
ハルカの準備が出来た。ダンジョン内は、拡張現実〈AR〉で確認出来るので不備は無い。
後は、自分次第だな。
「……十層にいるパーティーから行くか」
静かな宣戦布告を行う。まあ、聞こえていないのだが。
「アースバインド!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます