第3話 メイン魔法
「宝具やメインの魔法を決めたいのですが、インターネットを使わせて貰えませんか?」
「ほいほーい。これをどうぞ」
そういうと、拡張現実〈AR〉の様な物が目の前に現れた。
指で触るとスクロール出来る。実体の無いタブレットというところか。
でも、使い辛い。
「すいません。自分はパソコン派なので、キーボードとマウスもお願いします」
「あら? 若いのに珍しいのですね」
キーボードとマウスがポンっと出て来た。
しかし、若い人はパソコンを使用しないというのはどうなのだろうか?
今後は変わっていくのかもしれないが、自分はキーボードの方が使いやすい。ゲームもコントローラーでは無くて、キーボードで操作していたくらいだ。
まあ、いいや。やることをやろう。
前世でクリアしたゲームの説明書を見て行く。
ここで何を選ぶかで、次の世界の成否が決まる。
時間を掛けてでも、慎重に選ばないといけない。
◇
「バインドにしようか……」
あまり注目を集めない、『足止め』もしくは『拘束』の魔法。
チートの空間魔法対策……。熟考した結果だった。
土魔法を使用した、アースバインド。効果は、膝から下を絶対に動かなくする。ポイントは、100%の成功率と、範囲魔法であること。
次に、水魔法の、ウォータバインド。効果は、水の流れを阻害する。もしくは止める。雨のフィールドであれば、濡れた物であれば、その効果を発揮する。
そして、風魔法の、エアロバインド。効果は、風の流れを止める。もしくは気圧の変化や空気の粘度を変える。
最後に、火魔法の、ファイアバインド。効果は、燃焼の継続もしくは鎮火だ。酸素や燃える物が無くても魔力を送り続けて燃焼を継続させる。または、どんな猛火も即座に鎮火する。
思い通りに奇跡が起こせれば、空間魔法の天敵になるだろう。
「随分と変わった魔法を望むのですね。でもそれは、本来であれば闇属性ですね。次の世界では、闇の精霊がいません。そうなると、空間魔法と同じ様に魔力の直接変換の分類になりますがよろしいですか?」
「自分の前世では、魔法が無かったので精霊の有無の判断がつきません。自分がイメージした奇跡が発現出来るのであれば何でも良いです。それと、真正面から戦う気は無いですよ? 瞬殺でしょうから。罠に嵌めて殺す方法を取ります」
「うん、良いでしょう。その四つの魔法の他に、四大属性魔法も使用出来る様にしますね。それと、そのパソコンも持って行けるようにします」
かなりありがたい。とても良いお土産を貰うことになった。
あと必要な物は、『空間魔法を無力化する能力』だな。
「すいません。空間魔法の阻害方法ってありますか?」
「今のところ無いですね。魔力を直接変換するので、魔力の無い空間を作り出すくらいです」
「うーん。そうなると厳しいですね」
「イメージすれば、作れますよ?」
え? 何でも良いの? それだとチート過ぎない? まあ、相手が、チート達だけど。
「イメージの仕方を教えてください」
「そのままなんですけどね。前世で得た知識の中で似たような物を思い浮かべてください。その性能を『空間魔法の阻害』に変える感じです」
幻想の物語に出て来る物になるな。
さて何にするか。
少し思案して、封神演義の『定風珠』を選んでみた。度厄真人もしくは、慈航道人が使用した
指定した空間の風の流れを止める性能を持つ。
「イメージは『定風珠』でお願いします。魔力を送ると宝珠を中心にして空間魔法を使えなくする感じで。あ、四大属性魔法は使える様にしてください。それとそうですね、『定空珠』とでも呼びましょうか」
「ふむ。随分とマイナーな物を選ぶのですね。まあ、良いでしょう。四大属性魔法に、魔法の『バインド』。そして『定空珠』ですね。他に欲しい物はありますか?」
「もう一つ聞きたいのですが、魔法を使えない人達が、『魔法を使える様になる物質』は存在しますか?」
「そんな物質はありませんね」
「装備すると属性魔法が使える装備が欲しいですね。形状は宝石で、指輪とかネックレスとかの装飾品が良いかな」
「ふむ……。面白い考え方をしますね。良いでしょう。各属性魔法が使える指輪を四個用意します」
某有名なゲームからアイディアを貰いました。でも、装備すると魔法が発現する装備など、昔からあるか。
聖遺物と呼ばれる物は、前世でも数多くあった。実在は怪しいが、今はアイディアだけ貰う事にする。
これでかなり楽になった。RPGでは無いが、序盤は思い通りに事が進むだろう。中盤以降は、その世界を知ってからでないと決められない。空間魔法を実際に見てから決めよう。
最後にわがままを言ってみようかな。聞いてくれたらラッキーくらいで。
「最後の希望としては、何時間でも眠れるスキルが欲しいです。することが無ければ、一ヶ月間とか寝ていられるスキルが欲しいですね」
「は~、あなたと言う人は。まあ、良いでしょう。ただし、それは魔法ではなくスキルとして授けるので、他人には使用できませんよ?」
「それでかまいません」
とりあえず、キャラメイクはこんなところかな。
ゲーム感覚で、戦場に行く事になる自分は、どうかしていると思えるが、不思議と心は落ち着いていた。
それと、聞いておくか。
「最後にあなたの名前を教えて貰えないでしょうか?」
「私は、神様と呼ばれています」
天使くらいかなと思ったけど、神様だったか。
そこで意識を失った。
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