雨降る夜のほろ酔い唄

 強すぎず でも弱すぎず

 優しく降り注ぐ 雨のなか

 わたしは一人 歩きます

 暗闇のなか 傘もささずに

 顔にかかった 滴たちは

 雨か それとも涙なのか

 泣いてもないのに 分からなくて

 仕方がないから 歌いました

 片手に持ったお酒を少し

 あおってそっと笑います

 あまりに度数が低いから

 飲んだ気にはならないけれど

 チューハイは甘くて美味しくて

 雨の匂いと混ざって抜けた

 香りはたしかに お酒でした

 お腹の調子が悪くなり

 私はちょっと後悔します

 空きっ腹につまみもないのに

 アルコールなんか突っ込むから

 から笑いをして 雨に濡れて

 笑い声がいつしか変わって

 泣き声になった気がします

 滴は涙――ではなく雨

 泣いているわけが ないのです

 そんなの気のせいに決まってます

 こんなに雨が降っているから

 泣いている気分になっただけです

 暗い雨のなか 傘もなく

 たった一人で濡れている

 それが寂しくなっただなんて

 ありえないのです 絶対に

 私は十分 この今を 

 楽しんでいるはずなのですから

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