07.

 何も、存在しない。


 どこまで行っても、貼り付けられた透過画像と処理背景。オブジェクトの中身は、すべて空。


「まずいな」


 時間軸がどれぐらいの繋がりなのか、分からない。


 夢なら、現実と異なる時間の流れは経験したことがある。夢の中で一生を過ごして、死んで、そして夢から覚める。そういう夢だった。

 今ここが、それと同じなのか。分からない。手がないので、腕時計もない。


 焦った。


 なるべく早く見つけないと。


 しかし、何も、出てこない。


 頭を打ったのなら、それなりの早さで起き上がりたかった。筋肉が強張れば、動きも鈍る。


「何もないな」


 何もない。


「そうか」


 何もないのか。


「何もないことが、手がかりか」


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