七人目 ゆくちゃん
どうだろう。一家に一台妹キャラというのは。クラリオさんが一家に一台お姉さんキャラなら、彼女は一家に一台妹キャラなのだ。もうそれはそれは妹としてキャラを確立させている。例にもれずごたごた喋ってもあれなので言っておくと、彼女もまた恋愛対象としてはボールゾーンなのである。というか今の僕に関してはほたるびん以外に関してアンパイヤ―の腕を上げさせる気はない。
ゆくちゃんは徹頭徹尾妹であり、強いて言うのなら後輩キャラだろう。可愛げがあってとことん子供じみていて、それでいていろいろ考えて悩んでしまう心の深さというか、そういったところも持ち合わせている、まさにいい子って感じだ。
ゆくちゃんと出会ったのはなんだったか、僕が勧誘したんだったか。TRPGあんまりやったことないけど一緒やる人いませんか探してます的なことを言っていたので僕が引きずり込んだ。結果として大正解もいいとこだった。天才というか、そもそもキャラがいいのだ。ぶっ飛んだことを言っても、そこで空気をぶち壊さないのは素晴らしいことだと思う。普通の子があんなこと言ったらやべーやつが来たな、ってなるものだけど、彼女の場合は何というか、あららまたおかしなこと言ってるわうふふ、というか。年下だということもあるのだけれど、それだけでは表現しきれない愛されキャラである。
まぁだからと言ってセッションでのプレイングがまともなわけではないんだけれども。普通に考えたらしないよね、っていうか思いつかないよねってことを息をするようにしている。普通砂糖とかガソリン代わりに詰めないでしょ。車を動かなくする目的があるのならナイフでタイヤに切れ込みを入れるとか、そういうことがあってしかるべきだと思うんだけど、何故かエンストを狙ってくるあたり天然なのかガチなのか分からない。結果としてキムがそのせいで死にかけたわけだが――というかあの状況で死んでいないのがおかしいのだ。そもそもDEX30の新幹線顔負け馬って何・・・という話はこの際おいておくとして。
つまり彼女はどういう子なのかと言われれば、場を崩さずに崩壊させられるとでも言おうか、嫌な気持ちにすることなく空気を変えてしまえる、そんな子なのである。クラリオさんのように周囲を常に見ながら笑顔の裏でしっかり考えてくれる人も大切だけれど、案外大人数のグループにおいて一番必要なのはああいう末っ子キャラなのかもしれない。お兄さんお姉さんの僕たちは彼女の前ではそれなりにしっかりする義務が生まれるのであるからして(その義務を果たせているかについてはノーコメントとさせていただくことにする)、常に意識を最低限持つことが可能になるというわけである。
いやまぁ、嫌な気持ちにさせないだけでぶっ壊れてはいるんだが。
でもそれが味だと言い切れるくらいには、そのはっちゃけ具合が心地いい。
何百人もいたら流石に困るけれど、一人もいなかったらいないで味気ない、彼女はそんな女の子だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます