第九話 帰還とトラブル 2
【宿屋ライム】
仕佐は右手を顎に当て無言のまま自室に向かい、ベットに腰を下ろした。
あの自称神が言っていたのはどういうことだ?全く意味が分からん。「僕達が楽でいられるのはぁ?僕らが標的になっていないから?」どういうことだよー!
そんなこんなでずっと悩んでいると、なにかの声が聞こえた。
「――おーい!――仕佐ー!!」
「わっ!?!」
素早く顔を上げると目の前に条夜の顔が映り込んだ。僕はかなり驚いて後ろに流れるようにして倒れた。
「イテテテ、なんだ、条夜か」
「なんだじゃなくて!……何をそんなに考え込んでんだ?」
どうやら僕は条夜が居たことも忘れて1人でずっと考え込んでいたっぽい。
「ん、ああ。実はね……」
そして自称神とのやりとりの全容を教えて、僕がなぜこんなに考えていたかを話した。
「――なるほど~。確かにそらあ考えるな」
仕佐は静かに頷くと、一度立ち背伸びをしてからもう一度座った。
「……とりあえずは、記憶の隅にでも置いておくか」
条夜がそう提案すると仕佐は「そうだな」と頷き、後ろに倒れて、目を瞑った。――どうやら、いつの間にか寝てしまっていたようだ。窓の外はすっかり暗くなっていた。不意に視界の端にずっと置きっぱだった学校のカバンが眼に入った。仕佐は今頃思い出したかのように学校のカバンを手元に持ってきて、中身を漁った。
「……確か、この辺に……」
僕は独り言を言いながらある物を探した。カバンの中には、教科書類、筆箱、水筒、そして……
「あった……スマホ」
こっちでも使えるのかな?……
そう思いながら電源を入れてみる。時刻と日付が表示された。『3月8日水曜日 午後4時32分』
これ、時計の方は完全にあってないよ、な?今もう、暗さ的に午後7時くらいだもんな……日付は、こっちの世界がどうかは分からないけど、向こうの世界が
そして、1つずつアプリを開けていった。メッセージアプリ、検索アプリ、動画サイト……
――パタ
仕佐はスマホを閉じ、カバーをした。
やっぱり、と言ったらあれだけど……どのアプリも開かなかったか……
気づいてはいたが全くその通りだったので仕佐はその場で落胆した。すると何かを思い出したかのように自分のスキルを見出した。そして
「……鑑定と解析スキルを使えば……もしかしたら!」
僕はそんな希望を抱きながらスマホを鑑定、解析した。すると結果はどうだろうか、
『スマホ 正式名称スマートフォン 小型通信機器
様々な技術の結晶体 魔法に置き換え可能――』
その後も沢山の文字列が並んでいた。
「凄いな……」
僕はスマホの詳細画面をスクロールしながら驚きの声を上げた。
……て、ん?!『魔法に置き換え可能』だって?!
僕は驚愕の余り身体を硬直させ、手が震えだした。
と、ということは……この世界でもスマホを使うことが出来るのか!?
僕は魔法の可能性に期待しつつ、困惑した。
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