第八話 昇級試験と?
壁の外側に居るはずのコーリスさんの声がどこからともなく聞こえた。聞こえた方に目を向けると、氷の壁の上にコーリスさんが立っていた。そして、後に詠唱した『風刃』を咲夜に向かって放った。しかし咲夜を守っていた『竜巻』がそれを阻み、咲夜の元へ攻撃が当たることは無かった。咲夜は『火炎』を使い、氷の壁を溶かそうと試みるも炎が壁に到達する前に冷気によって消される。
「あぁーもう!あれを使う!」
そう咲夜が言うと、詠唱.......この場合、呪文を唱えだした。両手を頭の上に出し、何かを固めるようにして魔力を集め出した。
「敵を焼き尽くす炎よ、敵を囲いし爆風よ、我がフィールドとなれ!『
「なんだ.......この魔法陣は?!」
空には巨大な魔法陣が3つ展開されていた。それぞれ
「この、壁を!溶かせぇぇぇ!!」
すると氷の壁の外側に溶岩があるのかというぐらいの熱が発生した。それがさらに強風によって壁に集中攻撃される。
「なっ?!『永久凍土』が.......溶かされておる?!」
コーリスさんは、まさか『永久凍土』が溶かされると思ってもみなく、次第に壁はみるみる小さくなっていきコーリスさんは足場を無くした。体勢を崩したコーリスさんは、揺れの勢いで地面に垂直落下していった。だが途中で大気中の魔力を操作して、頭から落ちること無く綺麗に降り立った。
「.......あまり、使いたくなかったんだよね」
咲夜は頭をかきながら何も残っていない、まるで来たときのような綺麗さの、闘技場を見つめながらそう言った。
「まさか、これほどとは.......負けを認めざる事にはならないな」
そう言うとコーリスさんは、両手を挙げて降伏した。するとどこかで見ていたのか、ギルド長と影兎が戻ってきた。そしてギルド長はあんな魔法を使った、コーリスさんを叱りに行った。その後咲夜達は無事冒険者ランクCになった。
【(西)住宅街街道】にて
「――ふぅー。疲れたねー、えっちゃん?」
「疲れたのは咲夜でしょ?」
影兎はさっきまで戦っていた咲夜の方を心配して、顔を60度曲げて苦笑いした。
「あ!」
突然咲夜が大声を上げた。思わず影兎は体がビクッとした。
「え、なに?」
「そういえばさ、私らの宿.......探してないよね?」
もう日が暮れ始めている。10分も経たない内に夜になるだろう。でも影兎達はまだ自分たちの宿がないと言う。どうするつもりだ?
「.......」
2人とも黙って思考している。こうしている内にも時間が過ぎていく、そして――
「.......すっかり、暗くなっちゃったね」
2人が思考している間に辺りは真っ暗になってしまった。そして街灯がつき始めた。街灯の中には10cmくらいの光の魔石がはめてあり、辺りが暗くなると光るように付与がされている。
「そうだね.......野宿する?」
影兎は、野宿だけはしたくないと思いながらも一応聞いてみた。
「いや、野宿は.......?!」
咲夜が影兎の問に答えようとしたとき、影兎の後ろに光る物が見えた。咄嗟に咲夜は『水球』を使った。
バシャーン!
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