第八話 昇級試験と休暇 2



『(ではどうやって咲夜は、無数の『氷刃』から生きていられたのか、それを説明しよう.......1人だとやりづらいな、では影兎をお呼びしよう)


え?なんで僕なの?


(いいから、突っ込んでよ?)


で、どうやって咲夜はあれから抜け出したの?


(咲夜はね風を極めて、『嵐』にしてるんだよね。そうするとその魔法を自然に覚えられるんだ。)


うん、僕の『氷』と同じだね


(そうだね、そしてその魔法が『疾風風紀』と言う魔法なんだ。この魔法の効果は、10秒間風の力を使って、秒速10メートルの早さで動くことが出来る。そして『氷刃』の効果範囲は、一つ一つの氷塊が直径約10メートルだった。そのため、立った1秒で魔法の効果範囲から離れることが出来たのだ。)


す、凄い!完全に魔法を使いこなしてる!』



「なるほど。ですが既にもう10秒の時間は過ぎています。再び使うには2分のクールタイムが必要なはずです!さてどうするのですか?」


そう言われ、咲夜は不意を突かれたような顔をした。まさか、クールタイムも持続時間があるとは思ってもみなかったようだ。


「ふっ、まさかこれに制限時間があるとは思ってもいなかったわ」


強がりなのか負ける気は無いのか、思ったことをそのまま言った。


「おい!コーリス、あんなもん使ったらアブねぇーだろうが!」


ギルド長のゴルドウスさんは、『氷刃』を使ったらコーリスさんに怒鳴った。


「ほほ、無事だったから良かろう?」


コーリスさんは、怒鳴るゴルドウスさんに謝りもせず結果論を述べた。


「そろそろ決着をつけるとしましょうか」


そうコーリスさんがいうと、杖を構えスキルを発動させた。


  発動中スキル ―高速詠唱 並列詠唱 MP上昇―


その後並列詠唱で2つの魔法を高速詠唱し始めた。


「B級魔法、嵐、氷雪、敵を囲め。『永久凍土フリーズデバイスト』」


「風の刃、無数の波、切り裂けよ。『風刃ヴィルトラフ』」


「――なっ、コーリス!止めろぉー!それは.......――」


ゴルドウスさんから魔法をやめろと言われるが、その言葉はコーリスさんの耳には届かない――ゴルドウスさんは仕方なく影兎を闘技場の出入口の所まで一緒に走りながら詠唱を始めた。


「扉の幻影、果ての奥地、我々を助けよ。『瞬間移動ティアメタフォーラ』 逃げるぞ!」


「え!さく――」


瞬間、影兎とゴルドウスさんはこの場から消えた。だがコーリスさんと咲夜はそれに気付いてすらいない。そして、コーリスさんの『永久凍土』が咲夜の周囲に発生した。氷の壁が咲夜の逃げ道を塞いだのだ。壁の高さは、闘技場の観客席が中から見えないほど高い。そして氷の壁から物凄い冷気が咲夜に襲いかかった。だが


「寒っ――『竜巻ストーム』」


咄嗟に咲夜が放った『竜巻』により、冷気は咲夜の元には来なくなった。そして『竜巻』は消えること無く咲夜の周囲を守るようにして4つ転々としている。


「.......まさか、C級魔法すら無詠唱とは.......気が置けぬな」

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