第7話
…私は博士に紹介された住所を訪れていた。
町外れの一角に建つその瀟洒な建物は、
周りの寂れた景観の中で一層目立っていた。
白塗りの地中海風な外壁に、よく手入れされた芝生が映えた、
質素ながらも小洒落て洗練された雰囲気があった。
扉のチャイムを鳴らすと、黒髪の美しい褐色の女性が現れた。
私が用件を伝えると、中へ招き入れてくれた。
…そう、先生が紹介なさったんですね。
差し支えなければ、お話しを伺いたいんですが。
…わかりました。
つかぬ事をお聞きしますが、あなたに見覚えがあります。
…ええ、そうですか。
やっぱり。どこかでみた事があるかと思ったら、
貴方は、"アマラ"さんですよね?
…ご存知でしたか。
彼女の間の悪い素振りを見て、私は失礼なことを聞いたと思った。
すみません、失礼でした。
…いえ、お気になさらないでください。
…ただ、当時のように騒がれるのは、嫌なんです。
…。
…ここへきたのは、私の"催眠術"を体験したいからですか?
ええ、"それも"あります。"それも"?
…実は、私は刑事なんです。
はじめに自己紹介をするべきでした。
私の名前は、ゴート・グルー。
ある事件の真相を追っています。
そこで、あなたに聞きたい。
催眠術による"暗示"で人を殺す事が出来るのか?
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