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トゥルハン帝国で年が明けたばかりに起こった騒動は、国内外問わず、世を驚かせるには十分すぎるものだった。
真冬だというのに、ルーシ大公国南下の情報が周辺諸国へと広まり、それを迎え撃つために国境付近にトゥルハン帝国の名だたる将や、世界最強を謳われて
【
一瞬で後詰支援を失った前線の
後に、【ルィム騒動】と呼ばれる事になるその事件は、実質、戦闘らしい戦闘もないままに、引き分けという形で幕を閉じた。
そして、冬が過ぎ、春が来て――夏を迎え、秋に至る。
再び訪れた鈍色の曇天から、穏やかな風が新緑を揺らすようになり、空が高く持ち上がり、そこに幾重にも上へと伸びる大きな雲が鎮座する。
そして、綿を千切ったような雲が浮かぶ空に、スゥ、と涼やかな風が吹き抜けた。
季節は巡る。
くるり、くるり、季節は巡る。
身を切り凍えるような季節から、陽射しに微睡むようなそれへと。
そしてその鋭さに影が地面に焦げ付くような季節から、木々が身に纏う色を変えるものへと。
季節は巡る。
くるり、くるり。
季節は巡る。
くるり、くるり、と――。
季節は、巡る。
その後、ルトフィー一世は、トゥルハン帝国の大きな特徴のひとつともいえる
そして、政変の混乱による孤児や怪我人、病人のために、早急に各地にあったモスクを解放。
また、今までは軍人のための機関しかなかった教育方面において、市内の子供たちのため学校を建設。
彼が、周辺諸国を騒がせた、あの
季節は、巡った。
二度、巡った。
彼が、トゥルハン帝国最後の皇帝として再即位してから、早二年が経過していた――。
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