P2-治療への疑問
◇解離性同一性障害 治療への疑問
解離性同一性障害の一般的な治療法は、表に出ている症状への対処療法からはじまり、最終的にはトラウマを自然な忘却の流れに戻したり、解離人格の説得による主人格への融合または消去という事になるかと思います。
症状が和らいだり潜伏することはあっても、自然治癒はないと思います。だってそれは、頭の中に構築されてしまった仕組みだと思うから。
そして、治すお薬もないと言われています。現れた症状を緩和するだけ。
解離性同一性障害を認識するのは、幼い頃だったり、大人になってからだったり様々なようですが、認識する時期は別として、根本的な解離は幼少期のトラウマ体験などによって始まってると言われています。
自我が形成されるような幼い時に、自己防衛として解離の仕組みを持ってしまうのでしょう。
逆に言えば、しっかり自我が形成された人が、後になって(大人になって)から解離性同一性障害になるのは極めて稀な事なのだと理解できます。
さて、解離はトラウマ的な事象からの防衛だと思うのですけど、一度その仕組みを持ってしまうと、何かあった時に防衛として解離させていきます。あるいは、代行の人格が発生し、ともに成長したりするのでしょう。解離人格が数百にも及んだりするのはその為ですね。
さて、問題の治療ですが、トラウマを抱えた解離記憶や人格達を融合や消去していくのはまあ良いでしょう。でも幼い頃に形成された解離という防衛の仕組みは消せるのでしょうか?
実際にある治療経験者は、人格融合の治療を終えた時には、回りの風景が違って見える程の感覚を味わったそうです。……つまり全ての知覚を初めて自分で全部受け止めたという事なのかもしれません。
でも、その方は油断すると、その後も解離してしまうそうです。
過去の解離したものは消えても、また新たに解離してしまうということですね。
その方の場合は、自分の解離を認識できて、しかも、それを自分で融合させることもできるので良いのでしょうけれど。
過去の自分を苦しめてきた解離記憶を、人間本来の自然な忘却の流れに乗せれたのは良いのでしょうけれど、解離の仕組みそのものを無くすような治療はあるでしょうか?
さて、解離の仕組みも消せたとしましょう。
でも当事者は、自我が形成されるような幼い頃より解離を自己防衛の手段として使っていました。それこそ無意識に使っていたのでしょう。
その防衛手段を無くした当事者は、他に防衛手段があるのでしょうか?
現代社会で生きて行くというのは、ストレスとの戦いのようなものです。
もし、代替えの防衛手段がなかったら、ストレスで心を壊しやすい人になってしまうのではないでしょうか?
幼い頃から日本語を使っていた人が、突然日本語を取り上げられたらどうでしょう。
英語など他の言語に堪能なら良いのでしょうけど、それらが苦手だったらかなり苦労する事はわかりますよね。幼い頃から使っていたものを無くすというのは、そういう事だと思います。言語であれば教育方法が確立されているでしょうけど、精神を守る強さを育てる教育って確立されてるのでしょうかね?
そして先に書いたように、解離の仕組みが残ってるなら、無意識に解離という防衛手段を使う事になるのではないでしょうか?
最後にもう一つ。涼音の場合もそうだと思われますが、生まれた時の基本人格が眠ったり隠れていたりして、表に出ない場合は解離した主人格が生活(人生)を担ってたることになります。アチコチ見てみると、そういう例は少ないないようです。
それを治療する場合は、基本人格を呼び起こすのでしょうかね。
解離した人格を統合した場合、それぞれが獲得した記憶や能力が全て基本人格のモノになるのではないような気がします。(治療エッセイなど参照した結果)
そうなると、ずっと人生を放棄していた基本人格を人生の表舞台に引っ張り出して、果たして上手に生きていけるのでしょうか?
結局のところ、強い人間になれってことなのでしょうか? 解離して逃げずに受け止めれるようになれという事なのでしょうか? 感情や衝動を我慢(受け止め)しろって事でしょうか?
作中の僕は、後半はその方針だったのですけれど、うまくいきませんでしたね。
この辺に詳しい方、あるいは体験談などありましたら是非は拝見したいです。
治療や他のことでもそうですが、ビフォー・アフター。
このアフターが治療完了直後という事なら、さらにその後の数ヶ月とか数年のアフターがどうなっているのかって事が大切な事だと思います。
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