P4-後書き

この稚拙な物語を読んで頂きまして、ありがとうございます。


この物語は、身バレ要素を改編したほぼ実話になります。

一般的には不思議と思われる事も多かったとは思いますが、人格達や記憶に起こった事は事実です。


稚拙な文章であったことは、作者である私自身が感じている事ですが、それでも私の記憶が曖昧にならないうちに書いておきたかったので、急いで執筆しました。

人の記憶というのは、時が経つと曖昧になったり、忘却したり、そして都合よく改編されたりもしますからね。


素人の書いた読みにくい文章を読んで頂いた事を感謝します。




この作品を書いた動機は二つあります。


一つは、中の人(別人格達)との約束。

作中の37話『記憶の約束』にも書いてありますが、由比との約束があります。

(他の人格達とも同様の約束をしています。)

そのままなら、戸籍や記録に残る事のない中の人(別人格)が、実際に生きていたという『証』を僕が残すと約束したからです。


もう一つの動機は、解離性同一性障害(多重人格)の理解の一助になればと考えたからです。

私自信が彼女の状態を理解する為に解離性同一性障害について調べていて、具体的な情報の少なさに苦労した事。そして世間一般の理解も、それほど得られていないと感じたからです。


実は、第三章『記憶の約束』を書いている頃から、物語の中だけでも創作しちゃってハッピーエンドにしてしまおうかと考えた事もありました。ある意味恥ずかしい記録でもありますし、創作にしてしまった方が気楽ですしね。

でも、それでは正確な情報の提示にならなくなるので、実際の流れのまま最後まで書かせて頂きました。


ハッピーエンドではありませんが、バッドエンドでもないと思います。

そもそも、エンドじゃないですよね。私も涼音も、そして中の人達も今現在生きていますし、ましろとのホットラインも生きますしね。




最近はネット上での自己表現やコミュニケーションが普及していて、解離性同一性障害の当事者のエッセイなども見かけます。長く続いている場合もありますが、少なくないものが中途半端に更新が終了されています。これは同一性を保つのが困難で、続けるのが困難という理由もあるかもしれません。

もちろん、安定して長く続いてるものも少なくありません。



私の作品は珍しいパターンだと思います。

障害の当事者ではない、専門家でもない、普通の無知な第三者(観察者)の視点で解離性同一性障害を見つめていた記録だからです。


この作品を読んで頂けた皆さんなら理解して頂けると思うのですが、第三者からは、障害の当事者、あるいは主な人格達が認識できない事象や存在(人格や記憶など)も見えていたりします。認識・記憶や感情の解離・場合によっては記憶の改編などもあるわけですから、当事者が認識できない事はあってアタリマエだと考えています。

このことは、当事者(解離性同一性障害)達にも知って欲しい事です。


『貴方達(当事者)にしか判らない事はある、でも、第三者だから判る事もある。』


身近に信頼できる方、あるいは信頼できる医師がいるのであれば、どんどん心を開いて自分の知らない自分を見てもらう事が、状態の改善につながる可能性を示してると考えています。


解離性同一性障害においては、『障害の当事者である自分以外には理解できない』と考えるのは正解でもあり、間違いでもあると理解して欲しいです。



また、身近に同障害の方がいらっしゃる方は、その状態を素直に受け止めてあげて欲しいです。自我を持つ人格達へはその人間性を認めて接してあげてください。

そして、それぞれの人間性を認めれば、当然の事として相性や好き嫌いも発生する事を理解してください。

私が中の人達(別人格)と上手にコミュニケーションできていたのは、彼らを自分と同じように生きてる人間だと思っていたからだと思います。


作中の35話『純粋な記憶』に書いてありますが、トラウマの記憶を無くした素直な涼音は、自らの多重人格を、何の偏見もなく受け入れてしまいました。

私はその様子を見て、素直に受けとめということは、偏見なく受け止めれるって事なんだなと感じました。

身近に解離性同一性障害の方がいたら、素直に受け止めてあげてください。

変だな、おかしいなと思ったら、思考停止せずに考えて下さい、調べて下さい。

『変』は理解できれば、『変』では無くなるのです。



私はほんの数ヶ月前まで同障害に対して無知でした。

コレを読んでくださるような読書家の方なら、私程度の知識と認識なんかあっという間に得ることができるでしょう。




念の為書かせて頂きますが、本作品は解離性同一性障害の状態を代表するものではありません。

人間や人格に個性があるように、障害にも個性があります。他の障害とも絡み合いますし、現れる状態は人それぞれ違うものの筈です。

この作品は、解離性同一性障害における一例として捉えて頂きたいと思います。


作中の涼音は仕事や彼氏へのストレスで不安定な時期でした。言い方を変えれば『症状が酷い状態』だったと思います。このような事が無ければ作中にあるような出来事が頻繁に発生するなんて事もなかったでしょうし。事実、現在は直接様子を見る事はできませんが、私が近くにいた頃に比べたらかなり安定した生活を送ってるようです。


また、筆者はこういった分野の専門家ではありません、作中に書かれている解離性同一性障害に関する記述内容に関する正確性は保証できません。

作中には、それを体験した時々の当時の筆者の思考が書かれています。

書き上げた今になってみると、当時はこんな誤解してたんだなって思える事もあります。「この人(筆者)はこんな風に考えていたんだ」程度に受け取ってください。



この作品は、雪乃、唯、ましろ、他、中の人達の為に……。

(名前は誤字じゃありません、お察しください。)

(他の人、拗ねないでね、代表だから。)

この記録の物語は、君達、中の人達(別人格)が生きて存在していた証です。


読んで下さった皆様へ、心を込めて『ありがとうございます』


2020年11月05日 



*追記:この作品は『小説家になろう』様にも投稿してあります。

『なろう』には画像を差し込めるので、少ないですがイラストや資料画像を差し込んでいました。興味がある方は『なろう』推奨の画像アップローダー『みんてん』様のこの作品用のアドレスを貼っておきますので、ご覧下さい。画像上部のナビゲーションを操作する事で全ての画像を見れると思います。

https://34427.mitemin.net/i499895/

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