S6-ティアの考察

◇ストーリーではなく、思念体のような人格『ティア』の筆者考察です。



 ティアが語った言葉、ティアが消失した後の涼音の変化、この二つを考えると、涼音が人から離れる事を嫌い、過剰反応をし、また雪村を離さなかったのは、ティアの影響だと思って間違いないと思っています。



 だけど、ここでおかしな点がでてくる。

涼音の告白通りなら、雪村以前に彼女は14人の男性と付き合い、そして別れてきたのです。

では、その時にどうしてティアの影響が無く、別れてられたのだろう?。あったのかもしれないけど、今となっては知る術もなく、結果として、別れてきた事だけが事実となっている。


 ドロップが封印されておらず、ドロップとティアの相乗効果で影響力が無かったというのは、時間軸がおかしくなる。

ドロップを封印したのは、ましろである。由比は生まれてから3年だと言うが、転生前のましろの事は知らなかった。つまり、ましろがドロップを封印したのは、最低でも3年以上前になる。

3年の間に付き合った人がいなかった、別れが無かったということは無い。


 無理に理屈付けすると、ドロップがましろに封印された直後の影響力は小さなモノで、その後に徐々に影響力を増してきた、という推測で解決はできる。だけど、それを裏付ける証拠はあまりにも乏しい。



 ティアは他の人格と違い、思念体のようなものと感じられた。

その考えを、涼音や中の人(別人格)達に語った事はないけど、「ティアの復活には、人格の生贄に必要」と人格達が言ってきている。だから、これは僕の言動が人格達に影響を与えた訳ではなく、人格達が「ティアは人格ではない」と自ら認識してた事になる。


 やはり、ティアは想像通り、思念体のような存在だけど人格ではない、だから定着するのに人格という入れ物が必要だったのだろうと考えられる。


 人格とは自我のようなもの……、それが入れ物なる違和感が残る。

実は、由比は自分が入れ物になる覚悟をした時に「生贄になる」と言っている。

人格が生贄、そこから考えたのは人格に憑依という状態だった。生贄……人格を食べたりするイメージより、人格に取り憑くようなイメージがしやすかったからかな。

ティアが存在するには、他の人格に憑依する必要があるってことなら、理解しやすい。



 ここまでは、作品中の僕(樹)が考えていた事です。

ここからは、最近になって筆者の私が考えた事になるので、作中の僕(樹)の思考ではありませんし、もちろん、この後の物語にも影響しません。



 憑依という言葉を私達が普段使うとしたら、霊的現象を語る時に多いですよね。

当時も薄々とは感じていたのですが、何も確証がないので保留していた考えです。


 最近、とある多重人格(解離性同一性障害)の治療経験者のエッセイを拝見していたら、別人格の中には霊的なモノが憑依してる場合があるという事実を知りました。治療にあたってる専門医の方も、それが当たり前のように治療(除霊?)を行っていたようです。


 作中で、『変なモノ、異質感』などの表現で紹介した事例は、当時から薄々と霊的な憑依ではと考えていたのですが、それがたぶん正解だったのだろうと、今は思えてます。(現実に見たものはそのまま受け入れる性質なので)


 また想像の話になりますが、もし霊的なものが憑依するとしたら、それはどこに憑くのでしょうか? そのまま、入り込んだだけで人格のように振舞えるのでしょうか?


 僕がティアの入れ物の件と併せて考えたのは、外から憑依した霊は、人格に憑くのではないだろうか、という事です。

逆に言うと、存在する為に人格という入れ物が必要とするティアは、本人の思念ではなくて、外から入り込んだ霊的なモノという可能性すら生まれてきました。


 そう考えると、ましろがドロップを必死に封印したのにも、説得力がさらに増します。


 ドロップという危険な存在が外からやって来たから、まるで免疫のようにそれを駆除しただけ、『人格クラッシャー兵器ましろ』の存在は、害ある憑依人格を消す為の免疫みたいなものと考えれば、その存在理由の説得力も増す。

物理的な免疫で外部から侵入にる細菌やウィルスから身を守る人間が、精神とか心にも同じようなモノを持っていたとしても、それは有り得る事と理解できるから。

ティアについては、作中にも書いてある通り、害にならないとの判断で放置されたという気がします。

実際にティアには害ばかりでなく、復活の必要性まで出てきていますしね。


 物語の先にも、ドロップに思考がそっくりな人格が登場するけど、それは攻撃対象にはなっていない、逆に保護されている。

ドロップとの扱いの差は、外から来たか、内なるものか、という事かもしれないのです。




 信じる、信じないは別として、私は作中の僕(樹)と同じく、見えた事や可能性は否定せずに受け止めて、理解する努力を楽しみにすら感じる人間です。

作中の僕が雪村に言ってました、変だと思ったまま思考停止はダメだと、変と向き合って理解できたら、変じゃなくなると。


 思考して間違えても良いと思うんだよね、自分で出した答えを頑固に固定することなく、新しい情報や気付きがあった時に、また柔軟に考え直す事ができるのなら、間違いなんて過程に過ぎないのだから。

不思議だって同じですよね、これを読む皆さんが思考停止せずに、幅広い知識と理解を得ていかれます事を願います。


―end

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