第311話 全ての行動に責任を
カルナはアタナシアへ火炎の弾丸を放つ。アタナシアは水の弾丸を火炎の弾丸にぶつけながらカルナへ向けて走っていた。
「父親に逆らうか。アタナシア」
「私は私が護るべきもののために戦う。カルナ=サン、だからお前は私の敵だ」
「成長したな、ただの機械のくせに」
「私は機械じゃない。人間だ」
そう叫んだアタナシアの蹴りが、カルナの顎へ直撃した。カルナは体勢を後ろへ倒し、真上を見上げていた。
「これが
「アタナシア、確かにお前は人間程度のスペックしかない。最初から強い他のアーティファクトシリーズとは違って、お前は最初から弱い失敗作だ。だからお前は私には勝てない」
アタナシアの背後から直径1メートルの太陽が出現する。その太陽はアタナシアへ直撃すると、アタナシアは嗚咽をもらしてカルナの足元に吹き飛んだ。
「人間のお前じゃ私には勝てない」
倒れ込むアタナシア、だが彼女は突発的に立ち上がり、カルナの腹部に刃に変形させた右腕を突き刺した。
「使ったな。人間ではない力を、機械である力を」
腹を突き刺されながらも、平然と喋るカルナ。まるで刺されていないかのように、刺されるのに慣れているかのように、痛みなどないかのように。
「アタナシア、私は固有魔法を持っている。それが〈不死魔法〉」
「……は!?」
「私は死なない。不死だからな」
アタナシアは呆然とし、動けない。そんなアタナシアの頭を掴み、カルナは持ち上げた。
イージスは助けに行こうとするも、クロノスが邪魔をしてアタナシアのもとに行けない。
「アタナシア、私がラグナロクを望むのは死ぬためだ。不死魔法を得たから故、死ねなくなった。だからラグナロクーー世界から魔法を失くす儀式により、私は死にたかった」
「そのためだけに、世界を巻き込むのか」
「結果そうなる。だがどうでも良い。私が死ねればどうでも良い。お前らアーティファクトもラグナロクにより死ぬ。永久魔法によって生き長らえているだけのお前らは、ここで死ぬんだよ」
ーーその時だった。
カルナの腕が斬り飛ばされた。
「ラグナロク?誰がさせると思ったか」
「お前は……」
「〈
ムラサキ=アーサー、彼女がカルナの腕を斬り飛ばした。
「お前、良いのか?友人を救ってやるが」
「そんなことはもういい。あいつもそんなことは望んでいないはずだから」
「そんなに言うのなら、ラグナロクをーー」
「ーーやめておけ。『鍵』は全員柱から解放しておいた」
ノーレンス聖は無傷でそこに現れた。
「お前はオーズが引き止めているはずじゃ……」
「本気であれで私を止められると思ったのなら舐めすぎだ。予想よりも一分十五秒早く終わってしまったがな」
「その上でルクスリアの複製体を全て……」
カルナはノーレンスの化け物じみた力に動揺していた。
オーズは百体で名士四十一魔法師と互角に渡り合える強さを有している。それを一万体相手に十分足らすで。
「カルナ、裁きの時間だ。お前の罪は多くあるぞ」
ノーレンスは怒りに満ちた声でそう言い、カルナへ手をかざす。だがその時、電撃を纏う剣を持った男がカルナの前に現れた。
「お前は……」
「責任は全て俺にある。だからノーレンスよ、ここは俺に任せてくれないか」
「ゼウシア!?」
ゼウシア=アーサー、彼は剣をカルナへ向けた。
「これでラグナロクに終止符を討とう」
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