闇堕ちカルナ編

第308話 セイバーとの話

「ゼウシアがカルナの作ったアーティファクト?それはどういうことですか?」


 困惑し、イージスは動揺する。


「ゼウシアはな、カルナの作ったアーティファクトに心身からだを乗っ取られていた」


「では……ラグナロクはゼウシアの意思ではなく、彼を乗っ取っていたアーティファクトの仕業だと?」


「恐らく、そうだろうな」


 イージスは戸惑いを隠せてはいなかった。平然と装うとはしているものの、装うとすればするほどイージスは表情以外の場所に現れていた。

 イージスは父であるゼウシアを殺そうとしたことを悔やんでいた。だがそのゼウシアがアーティファクトに操られていたと知り、思考がぐちゃぐちゃになっていたのだ。


「セイバー会長、そのアーティファクトというのは今どこにいるのですか?」


「分からない。カルナならある程度の情報は知っているかもしれないが、カルナの居場所が分からずこれ以上のことは捜査できなかった」


「なるほど。アーティファクト……アタナシアがいた!ノーレンス聖、アタナシアのもとに行こう。カルナの居場所が掴めるかもしれない」


「そうだな。彼女についてはまだ謎も多い。知っている可能性もあるだろうな」


「セイバー会長、重要な手懸かりをありがとうございます」


「ああ。向き合えよ。己自身の宿命に、運命さだめに」


 セイバーはそうイージスへ言った。


「はい。では、失礼します」


 イージスは立ち上がってセイバーを見た際、後ろの棚に写真が置かれているのが分かった。その写真には三人の少年が写っていた。その一人はセイバーにとても似ていた。そして残りの二人もどこかで見たことがあるような気がしていた。


「セイバー会長、後ろの写真は誰なんでしょうか?」


「真ん中は私だ。残りの二人の内、一人はクロガネ=ノース。もう一人はゼウシア=アーサーだ」


「え……!?」


「私もゼウシアと同様、何百年も生きている」


 ゼウシアとセイバーが同級生であるという事実に、イージスは驚いている様子であった。

 しかしそれ以上詮索されないよう、セイバーは立ち上がって窓の方へ行って外を眺めた。


「行こう、イージス」


 ノーレンスに先導され、イージスは秀才アマツカミ学会を後にする。

 ノーレンスの転移魔法により、ヴァルハラ学園へと転移した。すぐにイージスたちに与えられた寮の部屋に行く。

 するとイージスが扉を開ける前に扉が開いた。


「待っていたよ、イージス」


 扉を開けたのはブックだ。まるでイージスが駆けつけてくるのを分かっているみたいな様子だ。


「アタナシアに話を聞きに来たんだろ。彼女ならもう待っているぞ」


 部屋へ入ると、そこにはアタナシアが真剣な表情をしてイージスを待っていた。


「イージス、話をしよう。私たちアーティファクトについて、その話を」

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